東海さすらい旅日記【愛知県東三河】ほの国東三河・春の花めぐり「桜メモリアル」[後編]

 愛知県東三河地方は南北の縦に長い。そして海抜0mの海から1,000mを越える愛知のてっぺん茶臼山まで高低差もある。だから、東三河エリア全体での季節は長く、桜も長い期間満喫できる。ただ、桜と言えど、全てがソメイヨシノなわけではない。早咲きの河津桜から、コヒガンザクラ、枝垂桜、神代曙、八重桜などさまざまな桜が咲き誇る。特に、東三河北部の奥三河は各地それぞれの魅力ある桜が各所にあり、3月から4月にかけて毎週のようにいろいろな桜模様を楽しませてもらった。

 トンネルの向こうに見える桜並木。いかにも映える風景に年々人気が高まっている新城市の河津の桜並木。元鉄道のトンネルが時を経て、観光の人気スポットになっている。

 新城市市川地区の桜は、まだ多くの人には知られていないが、美しい桜風景が広がる。新城のマチュピチュと言われることもある山里の集落風景に桜が織り交ざり、日本の原風景的美しい光景をつくり出す。ここの桜の多くは神代曙というソメイヨシノよりも早い桜。今年の桜はまだかまだかと思っていた頃に、圧巻の満開風景を見せてくれた。

 設楽町八橋のウバヒガン桜は、樹齢120年以上の巨樹。周辺では設楽ダムの工事が進んでいるが、この桜は残され公園化されるという。同じく設楽町清水のコヒガンザクラは2㎞にわたる川沿いの桜並木。電線も人工物もない山里の桜並木が山里風景に溶け込む。

 豊根村上黒川地区の熊野神社の桜も品格があり美しい。エドヒガンとシダレザクラが寄り添うように鳥居を覆っている。

 奥三河をドライブしていると桜の名所でもないのに車を停めたくなる風景に出くわす。それは1か所や2か所ではなく、何度も何度も出くわすのである。すべてが桜ではないが、奥三河の春は完全に花街道化している。

 最後は東栄町。廃校の校庭の桜も美しい。ずっと子どもたちを見守って来た優しさを感じる。東栄町の交流拠点「まちの縁側ぽたび」近くを流れる大千瀬川の八重桜。満を持しての風格さえ感じる見事な咲きっぷりだった。

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この記事を書いた人

愛知県豊橋市生まれ。
出版社、シンクタンク勤務を経て、現在は一般社団法人ほの国東三河観光ビューローのマーケティングディレクター。旅人総研代表。愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)。
東海地方を中心に、地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。生まれ育った愛知県東三河に腰を据え、地元活性のために奔走する。また、旅人総研代表として、講演やフォトラベライター(旅するカメラマンライター)などの個人活動も実施。旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。

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