日本列島のほぼ真ん中辺りに位置する東海地方は、古くからモノやヒトの往来が盛んで、豊かな自然と過ごしやすい気候に恵まれていることもあり、野菜づくりが盛んな地でした。
そんな東海地方には、数々の伝統野菜が地産地消されており、野菜本来の「旬」や食文化を教えてくれる貴重な存在として親しまれています。
今月は、「あいちの伝統野菜」に選定されている「かりもり」(写真)をフカボリします。
「かりっ」と食感よく、ご飯が「もりもり」食べられる漬物用のウリ
「かりもり 」は、明治時代から愛知県の尾張地方で作られているシロウリの1品種です。旬は7月から8月で、主な産地は清須市と大口町。「堅瓜(かたうり)」という別名もあるほど身がよく締まっているため、漬物にされることが多く、昔から各家庭で我が家風に漬け込まれてきた夏の漬物用野菜です。
漬物にすると歯切れの良い食感が楽しめることから、「かりっ」と歯応えよく、「もりもり」とご飯が進むことが名前の由来とも伝えられています。
標準の大きさは、長さ20~25センチほど。大人が片手で持てるサイズです。清須市内の産直で8月下旬に購入したかりもりは、「もう終わりが近いから少し小さめ」とのことで、少人数の所帯にはちょうどいいサイズでした。 では、これで漬物をつくってみましょう。
「かりもり」の味噌漬けのお手軽レシピはこちら
漬物といっても、粕漬け、ぬか漬け、味噌漬けなどいろいろありますが、個人的におすすめなのは、手早く漬けられる味噌漬けです。重石や漬物容器がなくても大丈夫。やってみると、意外と手軽に作れるのでおすすめなんですよ(手順は、曽祖母の代から我が家に伝わる昔ながらの漬け方です)。
まずは、「かりもり」の上下を切り落とし、タテ半分に切ります。
次に、スプーンなどで種とわたをくり抜いてから、果肉と皮の面に塩をすり込み、密閉できるポリ袋に入れて空気を抜きます。
上に(1キロほどの)重い本などを載せて、半日~1日置くと、かなり水が出てきます。袋から出したら、水分を絞って新聞紙などに広げて置き、風通しの良い半日陰に半日ほど干します。
(乾燥しすぎないよう、適当なタイミングで引き上げるのがコツ)
干して半生っぽくなった「かりもり」を味噌でコーティングし、再びポリ袋に入れて冷蔵庫で寝かします。
4~5日後、味噌から取り出し、水で洗うと、いい感じの色に漬かり上がっています。
後は、お好みの厚さに切って、ご飯のおともに。おすすめは、5ミリ程度の厚さ。「かりもり」 は少し皮がしっかりしているので、薄めに切ると「かりっ」「パリッ」という歯切れの良さを感じられます。
母いわく、「使う味噌は何でも大丈夫、ちゃんと美味しくなるから」とのこと。
甘めの漬物が好きな人は、漬け込むときに味噌に砂糖を加えてもいいそうです。漬け終わった味噌は少し水っぽくなってしまいますが、使えないことはないので、私は味噌汁などに使っています。
小気味良い歯応えと、味噌の滋味と香りが魅力の「かりもりの味噌漬け」。
ご飯と一緒に食べると、ご飯の甘みと旨みをより強く感じられて、不思議と、どんどん食が進みます。食欲がなくてもご飯がもりもり進む東海地区の夏のお漬物を食べて、厳しい残暑を乗り切りましょう。
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