企画・制作/中日新聞メディアビジネス局
提供/大塚製薬株式会社
女性の健康課題を共有し、誰もが生き生きと働き続ける社会へ。
日本のジェンダーギャップ指数は先進国の中で低迷し続けており、女性活躍推進が期待されながらも思うように進展していません。女性活躍推進には「女性の健康課題」に対する理解・支援が不可欠との観点からさまざまな啓発活動を展開しているのが、大塚製薬株式会社の「女性の健康推進プロジェクト」です。そのリーダーである西山和枝氏に、「女性の健康推進プロジェクト」の取り組みと目指す社会についてお話を伺いました。

「女性の健康」から考える「女性の活躍推進」
2016年に「女性活躍推進法」が施行されましたが、月経や女性ホルモンバランスの変化など、女性特有の健康課題と女性活躍推進との関係に着目している企業は少ないのが現状です。女性のパフォーマンス向上には、こうした健康課題を理解し、支援することが何より重要。そんな思いから立ち上げたのが「女性の健康推進プロジェクト」です。
プロジェクトで実施した「働く女性の健康意識調査」においても、更年期症状が原因で昇進を辞退したり躊躇した人が40%、さらに仕事を辞めたことがある、または辞めようか迷った人が51%にものぼっており、女性が自分らしくキャリアを重ねるうえで、健康課題がいかに影響を及ぼすかを示す結果となりました。
PMS(月経前症候群)、月経痛、更年期症状など、女性にはライフステージに応じて変化する健康状態への対応が求められ、社会で活躍する期間が長くなれば更年期以降も骨粗鬆症など老年期の健康課題にも向き合わなければなりません。
かつてタブー視されていた女性特有の健康課題ですが、近年は有名人の体験談などにより少しずつ認知されるようになりました。これを個人の問題と片付けるのではなく、企業の課題として捉える「企業ゴト化」を推進するため、「女性の健康推進プロジェクト」ではリアルな女性の声を発信するアンケート調査や、女性の健康課題をテーマにした企業向けの啓発セミナーを展開しています。
経営者や男性上司の理解促進による「企業ゴト化」
近年、経済産業省が女性特有の健康課題による経済損失の試算をしており、具体的な数字が示されるようになったことで、健康経営に取り組む企業が増加しています。私たちのプロジェクトにも企業向けのセミナー依頼が増えていますが、当初は内容が「女性のホルモンの働き」と知ると、女性向けのセミナーと受け取られることが多々ありました。
しかし、女性の健康課題は決して女性だけの問題ではないことを伝え、意識調査の結果から、約65%の女性が上司・周囲の理解を求めていることを明示することで理解してもらえるようになっています。女性を含めパートナーや上司、同僚である男性が理解してはじめて女性の健康課題の解消に向けた第一歩となります。この考えを企業のトップの皆さまに共有いただくことで、「企業ゴト化」に向けた次の一歩を踏み出すことができると考えます。
ヘルスリテラシーの向上が行動変容につながる
一方、「女性ホルモンに関して知識がありますか」という「ヘルスリテラシー調査」を実施したところ、「知識がない」と答えた女性が約70%にものぼりました。この調査は毎年実施していますが、数値はほとんど変わっていないという衝撃的な状況です。
自分の体の変化に気づかず対処ができないために、結果として昇進をあきらめ、仕事も辞めてしまうとしたら、女性自身も女性の健康に関する知識や情報を理解し、適切に活用できる「ヘルスリテラシー」の向上が不可欠といえます。実際、女性ホルモンの働きに関して知っていると答えた人は、睡眠、運動、食事などの生活習慣や、サプリメントの摂取、処方薬での対処など具体的な対応を心がけており、ヘルスリテラシーの向上が行動変容につながることがわかっています。
今では企業も月経や更年期症状、不妊治療のための休暇制度を整えていますが、制度が「ある」ことと「使える」ことは全く別の問題です。「使いたいけれど申請により上司に知られたくない」といった声が当社の社内アンケートでも多く見られ、実際の利用率は低迷していました。その反省を踏まえ、現在では「セルフケア休暇」と名称を変え、理由を問わず年間5日間まで自由に積立有給を活用できるようにしています。女性だけでなく、男性やLGBTQ+の方にも使いやすい制度設計とし、「誰もがケアを必要とする」という前提の仕組みに変えました。ヘルスリテラシー向上とともに、女性の健康課題に取り組む制度設計も使いやすく改善することが必要だと考えます。
知って、気づいて、対処する「新・セルフケア」
女性の健康課題について理解を深め、自分自身の体の状態を知り、日常生活の中で健康を維持するための「セルフケア」に取り組むこと。これに加え、定期的に健診・検診が受けられる婦人科の「かかりつけ医」を持つ「新・セルフケア」の啓発に現在取り組んでいます。
弊社が公開しているウェブサイトの「更年期ラボ」には女性が相談できる窓口一覧を設けており、お住まいや職場の近くで相性の合うドクターを探すことができます。更年期の症状には「手指の不調」もありますが、その相談窓口もこのサイトで確認できます。
海外の一部の国では、娘さんが月経を迎えると母親とともにホームドクターを受診することもあり、PMS世代と更年期世代の母娘が共に不調の相談ができるホームドクターを持つ環境が整っています。
日本ではまだ定期的に婦人科を受診する習慣はほとんど根付いていませんが、少しでも体調に異変を感じたときに相談できるかかりつけ医は、健康課題に対処するための心強いパートナーになります。生涯にわたり信頼できるホームドクターを持つことは、女性が健康を維持するために欠かせないセルフケアであることを広く伝え続けたいと思います。
“女性”を外し、誰もが健康で生き生きと働ける社会へ
プロジェクトで実施しているセミナーに参加された方から「もっと早く知りたかった」という声を多くいただくたび、情報へのアクセスと知る機会を増やしていくことの大切さを痛感しています。近年、セミナーの参加者には若い男性も増えており、「彼女や妻、お母さんのために知りたい」という声を聞くことができるようになりました。
当事者である女性だけでなく、家族・同僚・上司など周囲の方と共に女性の健康課題への理解を深め、女性が一人で抱え込み、悩むことなく、共に支え合っていけるような文化を育てていくのがこのプロジェクトの目標です。
「女性の健康推進」というと、「なぜ女性だけ?」という声もありますが、“誰かの健康に配慮する”という文化が根づけば、それが多様な人の健康支援につながるのではないでしょうか。「女性の健康推進」は、その第一歩です。いずれ「女性」が外せる日のために、すべての人が、自分らしく、生き生きと輝ける社会を目指して。私たちはこれからも歩みを止めることなく、着実に前進し続けたいと思います。

西山 和枝(にしやま かずえ)さん
大塚製薬株式会社 エグゼクティブ ディレクター、ニュートラシューティカルズ事業部女性の健康推進プロジェクトリーダー、日本女性医学学会認定 女性ヘルスケア専門薬剤師。
入社後、医薬品の営業職(MR)、精神科領域のマネジャーを経て現職。ゆらぎ期の女性をサポートする大豆発酵食品「エクエル」ブランドを担当。製品のPRのほか、女性活躍推進の流れの中で見落とされてきた女性の健康分野において、女性自身はもとより、男性管理職や経営者まで幅広い対象に向けて、ヘルスリテラシー向上のための健康啓発活動を行っている。