名古屋の街路樹【中川区&港区・荒子川の西岸を縦走するマテバシイの並木道】名古屋市中川区&港区

かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

北から南へ、市道・高畑町線、同・小碓第40号線、当知第81号線、荒子川南部第84号線で、マテバシイが楽しめる範囲(歩道)=茶色の点線部分
目次

荒子川沿いの市道を彩るマテバシイ

暑かった夏から、少しずつ気温や水温が下がってきて、季節は秋へ。
残暑を感じつつ、秋のさわやかさも感じられるようになってきたこの時期は、クリやドングリなど、実のなる木たちの実りの季節でもあります。
今回は、そんな実りを実感できる街路樹を求めて、中川区から港区を通り、名古屋港へ注ぐ荒子川の西側を走る市道に植えられたマテバシイ並木を歩いて来ました。

※本記事中の写真は全て2026年9月22日に撮影したものです。

国道1号と市道・高畑町線が交わる「中島橋西」交差点南にある「中川区中島新町四丁目」歩道橋から南方面を見たところ

今回訪れたマテバシイ並木の北端に当たる中島橋西交差点の南から南方向を見たところですが、期待したほど多くのマテバシイは見当たりません。
以前はもっと数があったと思われますが、現在は立ち枯れてしまっているものや、何らかの理由で切り去られた跡が見られ、特に並木の北部は、信号機周辺にポツンポツンとたたずんでいるのが確認できる程度です(南部はもう少し本数が残っています)。

交差点近くにたたずむマテバシイの木

思ったより数が少ないとはいえ、現在も残っているものは、どっしりと力強いたたずまいのものが多い印象です。

立ち枯れていたマテバシイの木

この木はまだ蘇生する見込みがあると判断されたのか、高さのある状態で枝が払われていましたが、葉っぱが枯れてしまって、実も付いていませんでした。

並木の中央から少し南部に植わっていたマテバシイの木たち

今回訪れたマテバシイ並木は、南北に約4.5キロと結構距離が長いです。
北部は樹間が空いていますが、南部に入ると少しずつ樹間が詰まってきます。

今回訪れたマテバシイ並木は、南北に約4.5キロと結構距離が長いです。
北部は樹間が空いていますが、南部に入ると少しずつ樹間が詰まってきます。

すぐ右側(西側)は会社や変電所、車道を挟んで東側は荒子川公園です。
この辺りは、マテバシイ並木といっても納得できる密度になっていますね。

「十一屋一丁目」交差点から東方面を見たところ

この東に向かう道は、荒子川公園内の人工島「フェニックスアイランド」に続いていて、ワシントンヤシなどが植えられ、南国の雰囲気が漂う不思議な空間です。

西側の歩道から車道を挟んで東側の歩道のマテバシイを見たところ

よく見ると、茶色い実がたくさん付いているのがわかります。

たわわに実ったマテバシイの実をクローズアップ

マテバシイの実がなっているのを見上げたところ

びっしりとついた深緑の葉の合間から、明るい茶色の実が見え隠れしています。

マテバシイの実がなっているのを見上げたところ(2)

少しズームアップしてみると、かなりたくさんの実が付いているのがわかります。

マテバシイの実がなっているのを見上げたところ(3)

さらにカメラの倍率を上げて見てみると、未成熟のものや、成熟しているもの、すでに実が落ちてしまっているものがあるのがわかります。

マテバシイの木の下に落ちていたたくさんの※ドングリ(シイの実)

マテバシイはブナ科の常緑高木です。
雌雄同株で、1本の木に雌雄それぞれの花を咲かせるそうなので(虫媒花)、全ての木で実がなると考えていいようですが、初夏に咲いた花が実るのは翌年の秋とのこと。
その年に伸びた枝に花が付くため、同じ木に、前年咲いた花の跡(成熟途中の実)と、今年咲く花が同居していて、今なっている実は、昨年咲いた花からできたということになります。
※ドングリとは、ブナ科の果実の俗称。

落ちていたマテバシイの実

マテバシイは、ドングリがなる木の中で最も細長い実がなるといわれていますが、こうして見てみると、個体差があるようですね。
私は食べたことがありませんが、調べてみると、多少渋さ(アク)があるものの、クリに似た味わいで、生食も可能だけれど、炒めたり焼いたりして食べた方が良いそうです。
古代の人たちにとっては貴重な食料だったようですが、クリやクルミ、アーモンドなど、品種改良された食味の良いナッツ類に慣れた私たち現代人の口ではどう感じるのでしょうか(私は今のところ、試してみる勇気はありません)。

小枝ごと落ちていたマテバシイの実(1)

小枝のように見えるのは、雌花の花序のようです。
雌花が全て受粉できるわけではないようで、完全に受粉できた雌花にはしっかりとした実ができるけれど、受粉できなかった雌花は未成熟のまま(未熟果)なのだそうです。

小枝ごと落ちていたマテバシイの実(2)

こちらは、一つの雌花の花序で3つも実が成熟しています。

歩道に落ちていた不思議な双子の実

これは未熟果なのか、これからまだ大きくなる予定だったものが何らかの理由で落ちてしまったのかわかりませんが、幼い双子がニット帽をかぶっているようにも見えて、なんだか可愛らしく感じてしまいますね。

マテバシイの足元に咲いていた草花たち

左上から時計回りに、ヘクソカズラ、オシロイバナ、ヒガンバナ、タマスダレ(いずれも推定)。
いずれも初秋を感じさせる花たちです。
ほかに、開花時期の長いランタナやヒメツルソバ、ニラの花(いずれも推定)も咲いていました。
最近雨が多いせいか、謎のキノコ(おそらく有毒性のアセタケ属の仲間)が群生している場所もあって、ちょっとびっくりしました。

今回ご紹介したマテバシイの並木道は、荒子川の西側を南北に走る約4.5キロの道。
少し距離は長いですが、起伏がほとんどなく、南半分は荒子川公園に隣接しているため、ふっと公園に立ち入ったりしながら、楽しく散策ができました。
思ったよりマテバシイの本数は多くありませんでしたが、ほぼ全ての木で実がたくさんなっているのを観察でき、「車がビュンビュン通る道沿いで、ドングリ(シイの実)がたくさんなっている」という光景が非日常な感じがして、面白かったです。

※掲載情報は公開日時点のものとなります

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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