名古屋の街路樹【東区・高岳南から西へ向かうカンヒザクラの道】名古屋市東区

かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

「高岳南」交差点から久屋大通公園へ向かう市道・久屋駿河町線で、カンヒザクラが植栽されている範囲(歩道)=赤色の点線部分
目次

名古屋の中心街から東へ
鮮やかなピンク色に染まる道

気温の高まりと共に、あちらこちらで花々が咲き誇る様子が目に留まるようになってきました。
一昔前は、サクラといえばソメイヨシノのみを指していたように思いますが、近年は、早咲きから遅咲きまで様々な品種のものが植えられるようになり、私たちの目を楽しませてくれています。
今回は、そんなサクラたちの中でも早咲きのカンヒザクラが見られる街路を訪ねてみました。

※本記事中の写真は全て2026年3月7日に撮影したものです。

「高岳南」交差点から西方向を見たところ

カンヒザクラの花の濃いピンク色が鮮やかですね。
向かって左側は「駿河町街園」、中央上部に映り込んでいるのは「中部電力MIRAI TOWER」です。

カンヒザクラの漢字表記は「寒緋桜」で、寒い時期から濃紫紅色の花を咲かせるということが名前の由来のようです。
国立研究開発法人の森林総合研究所関西支所のHPによると、かつては「緋寒桜(ヒカンザクラ)」と呼ばれていたけれど、「彼岸桜(ヒガンザクラ)」と間違えられやすいため、「寒緋桜(カンヒザクラ)」に改名したとのことです。
自分も「ヒカンザクラ」で覚えていたので、混同している人もいらっしゃるかもしれませんね。

「東区東桜一丁目」歩道橋から西方面(栄方面)を見たところ

一つ前の写真より久屋大通公園に近づきつつ、少し高いところから見下ろす形になるので、周辺のビルに隠れて「中部電力MIRAI TOWER」は見えません。
中央最奥に見える高層ビルは、名古屋駅桜通口側に建っている「ミッドランドスクエア」だと思われます。

「東区東桜一丁目」歩道橋の上から東方面(千種・今池方面)を見たところ

左手の緑色のネットと植え込みは富士中学校、上部を横行しているのは名古屋高速道です。

「NHK放送センター前」交差点から西方面を見たところ

右端のカンヒザクラがほぼ満開で、写真を撮っている人たちがたくさんいました。
そのすぐ左側のシモクレンはまだまだつぼみが多く、見ごろを迎えたら、とても華やかな一角になりそうです。

「NHK放送センター前」交差点から東方面を見たところ

右手の建物がNHK放送センターです。
日なたと日陰のカンヒザクラの花の発色の落差が大きいのが、とても面白いと感じました。
日なたでは輝くような鮮やかなピンク色なのに、日陰では深い赤紫色に見えます。

「NHK放送センター前」交差点から南方面を見たところ

交差点から南下する道には、ハクモクレンが咲いていました。
「カンヒザクラの濃いピンクと組み合わせると紅白だな」と思ったら、おめでたいような、明るい気持ちになりました。

市道「久屋駿河町線」の西端から東方面を見たところ

木と木の間が若干広めであることと、カンヒザクラ以外の木もたまに混ざっていることから、歩いているとなかなか実感しませんが、こうして端から見ると、カンヒザクラの並木道になっていることがわかります。

市道「久屋駿河町線」の西端から南東方面を見たところ

少し目線を右(南)方向にずらすと、オアシス21が視界に入ってきます。
そして、背面には「久屋大通公園」と「中部電力MIRAI TOWER」があるので、名古屋の名所のど真ん中に立っている気分です。

市道「久屋駿河町線」の西端から見上げた「中部電力MIRAI TOWER」

目線の方角は、北西方向になります。 ピンク色のカワヅザクラ(推定)の花と、よく茂ったマツが、かつてテレビ塔と呼ばれたこのタワーの歴史に色を添えているようです。

さまざまな角度から
カンヒザクラの道をクローズアップ

ビルと太陽を背景にカンヒザクラを見上げたところ

ビルと街路樹という、繁華街らしい風景ですね。
空を映す高層ビルに、陽光とカンヒザクラのきらめきが映えて、きれいだなと思いました。

鈴なりに咲いたカンヒザクラの枝

カンヒザクラの花の形は釣り鐘状で、下向きに咲くので、高いところに咲いていても、地上の私たちは花を正面から見ることができて、ちょっと得した気分になります。

少し低いところに咲いていたカンヒザクラの花

頭の高さの少し上ぐらいで咲いている花は、こんな風に見えます。
花柄は緑色なんだとか、花は半開き状態で結構細長いんだなとか、色々な発見があります。

カンヒザクラの花のアップ

目の高さより少し低いところで咲いていた花をパチリ。
これだけ近くで見ると、ガクが結構長くて赤いとか、花びらの重なり具合がきれいなど、細部までよく観察できます。

カンヒザクラは、11種ほどあるサクラの原種の1つとされています。
早咲きで、花色が濃いピンク色などといった特性を持つため、そうした特性を持たせたい栽培品種を作出するのに用いられることが多く、カンザクラやヨウコウ、カワヅザクラなどは、片親がカンヒザクラとなって作出された品種なのだそうです。

カンヒザクラ以外の木の花たち

左から順に、ソメイヨシノのつぼみ、シモクレン、カンツバキ(いずれも推定)。
これから咲く花、咲きかけの花、開花期の終わりが近い花と、少しずつ時期をずらしながら、春の花が咲いていく貴重な「とき」に立ち会えました。

この「名古屋の街路樹」コンテンツでは、特に目立つ樹種を指して「◯◯◯◯の道」などと呼んでいますが、近年の街路樹は、1種類の樹木のみが植栽されているわけではなく、複数種類の植物が組み合わせて植えられていたり、足元には様々な季節の雑草が生えていることが多く、主役以外にも見どころはたくさんあります。
それらを見つけながら散策しつつ、街路樹を楽しんでいると、少し心が緩むというか、少しだけ気持ちが豊かになったような気がします。
共感していただける人がいらっしゃるとうれしいのですが。

足もとに咲いていた花たち

左上から時計回りに、コメツブツメクサ、ノゲシ、カタバミ、フサザキスイセン、ヤハズエンドウ、ヒュウガミズキ(いずれも推定)。
赤紫色の花が可愛らしいヤハズエンドウは、別名カラスノエンドウとも呼ばれ、開花期は3〜6月で、花の後は小型のサヤエンドウのような実がなります。
よく野原で見かける雑草で、筆者も幼少期、中の実を取り除いたサヤを笛にして遊んだ記憶があります。
「シービービー」とか「ピーピー草」などと呼んで親しんでいました。

今回ご紹介した東西の「市道・久屋駿河町線」のヒカンザクラ並木は、500メートル弱。
久屋大通公園と千種駅を結ぶ「布池緑道」として整備された1.37キロの一部で、とても気持ちよく歩ける歩道となっています。
名古屋の中心街・栄を訪れた際には、ぜひ歩いてみたい道です。

※掲載情報は公開日時点のものとなります

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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