かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

※ヒイラギナンテンが植えられているのは、市道江川線(県道中川中村線との重複部分)の西側の歩道沿い
歩道を彩るカラフルな低木
3月に入っても、急に寒くなったり暖かくなったりと気候の変動が大きく、落ち着かない気候が続いています。
春は花を咲かせる樹木も多いのですが、今年は特に開花時期の予測が難しいな、そろそろヒイラギナンテンが咲いているといいなと思いながら、中川区の東端を南北に走る市道江川線(県道107号線=中川中村線との重複部分)に出かけてきました。

ヒイラギナンテンの樹高は、大人のひざぐらいの高さです。
「街路樹」と呼ぶにはかなり背丈が低く、「山王橋」交差点の北側から「南北橋」交差点までの200メートル弱という短い区間ですが、カラフルな色合いで存在感があります。

しゃがんで北東方向を見ると、松重閘門(東側)が借景になって、絵になる眺めです。
まだ満開とは程遠いですが、ところどころで黄色い可愛い花が顔をのぞかせていますね。

松重閘門とは反対側は「山王橋」交差点。
青い道標板が見え、東方向は「R153豊田」、西方向は「名駅通」、南方向は「名古屋港 尾頭橋」と記してあります。

緑のエリアと、紅葉しているエリアでかなり印象が違います。
ヒイラギナンテンは冬に紅葉し、花が咲くころに少しずつ緑色に戻っていくのだそうです。
一度にさまざまな葉の色が楽しめて面白いですね。

緑の葉や真っ赤な葉、赤と緑が入り混じった葉、それぞれ中心に花穂が付いていました。
かなり咲いている株や、まだまだ花穂が短い株があり、花の咲き具合が進んでいる株ほど葉が緑色であることがわかります。

一つの花の大きさは大体1センチぐらい。
花びらとガクは同じ黄色で、外側の9枚がガク、内側の6枚が花びらです。
よく見ると、筒状に直立した花びらは先端が浅く2裂していて、小さなベルのようでかわいいです。
散策するのが楽しい周辺エリア

案内板には、周辺の地図や交通機関、松重閘門の説明などが記されていて、散策に役立ちます。

南北橋を挟んで西と東に高さ約20メートルの閘塔(こうとう)が2基ずつあります。
上の写真は、ヒイラギナンテンが植えられている江川線西側の歩道(南北橋)から見た西側(中川運河側)の閘塔です。
1930年、中川運河の東支線と堀川を結ぶ地点に、水位調整のための通船路として建設された松重閘門は、最盛期には年間6000隻を超える船の往来を支えたそうです。
陸上輸送の発達に伴って船の利用が減少したため、1976年に使用停止となりましたが、市民の強い要望により保存され、市の「有形文化財」、「都市景観重要工作物」に指定されています。
夜は通年ライトアップされ、ムードのある夜景を楽しめます。
※中川運河:昭和初期に供用開始、名古屋港と名古屋駅を結ぶ運河。
※堀川:江戸初期に開削、名古屋港と名古屋城(西堀)を結ぶ運河。

1986年、西側の閘塔周辺を整備して開設されたのが「松重閘門公園」です。
こぢんまりとした公園ですが、園内にはツバキやコブシ、サクラ、フジが植えられ、それぞれの開花期は華やかな空間になります(取材時はツバキがとてもきれいに咲いていました)。
間近に閘塔を見上げる位置にベンチがあり、夜も雰囲気が良さそうです。
※木製のベンチは少し古く、実際に座るなら敷物を用意した方がいいかもしれません。

松重閘門の概略図や様式規模がわかりやすく説明してあります。

中川運河はエサが豊富なようで、写真のアオサギのほか、キンクロハジロ(カモの仲間=目が金色で体が黒色、翼が白色)や、ホシハジロ(カモの仲間=目が赤色で頭が茶色、背が灰色、胸が黒色)といった、美しい鳥たちの食事風景も見ることができました。
※鳥の種名は、外見の特徴からの推定です。
水辺ということもあり、のんびり散策が心地の良い道でした。
松重閘門とヒイラギナンテンとのコラボ写真が思いのほかいい雰囲気だったため、花の開花の進行に合わせて写真を撮って行くのも面白いかもしれないと思うと同時に、松重閘門公園内に植えられた木々の花がこれから順々に見ごろを迎えるから、ちょくちょく様子を見に行こうなどと思いながら、帰路につきました。
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