名古屋の街路樹【港区・金城埠頭線を南北に走るタイサンボクの並木道】名古屋市港区

かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

市道・金城埠頭線で、タイサンボクが楽しめる範囲(歩道)=黄緑色の点線部分
目次

臨港地帯を彩るタイサンボクの並木道

梅雨の時期に咲く木の花の一つに、タイサンボクがあります。
街路樹としてもよく植えられている樹種で、ハスのような純白の花が、高い樹上にポツポツと咲くのですが、知らないと見逃してしまうこともよくあります。
今回は、およそ6キロという長い距離にわたってタイサンボクが植えられている市道・金城埠頭線を歩いてきました。

※本記事中の写真は全て2026年6月6日に撮影したものです。

南端の「金城橋」交差点から北方向を見たところ

右側の高架を通っているのは、あおなみ線。
タイサンボクは、金城埠頭線の両側の歩道に植えられています。
ここから、北東にある「築地口」交差点までの6キロ弱が、タイサンボクの並木道となっているのです。

「金城橋」交差点北西から北方面を見たところ

金城埠頭線の両脇は工場や倉庫地帯となっていて、緑化対策のためなのか、道沿いには様々な植物が植えられているところもあります。
ここでは、左側のフェンスの向こうに見事なキョウチクトウが植えられていて、歩道の白いタイサンボクの花と競うように、赤い花を咲かせていました。

車道を挟んで対面の歩道に植栽されたタイサンボクの木を見たところ

タイサンボクは、モクセイ科の常緑広葉樹で、大きいものだと20メートルもの高さになるような高木です。
そばを歩いていても、花の存在に気づかないことが多いのですが、少し離れてその姿を眺めてみると、ポツンポツンと白い花が咲いていることがわかります。

少し近づいて見たタイサンボクの花

比較的低いところに咲いていた花を、下から見上げるとこんな感じです。

タイサンボクは、別名「白蓮木(ハクレンボク)」、中国名で「荷花玉蘭(カカギョクラン)」と書くそうで、いずれもハスの花に例えられるのですが、思わず納得するような花姿です。

「野跡」歩道橋の北側から南方面を見たところ

稲永公園脇の「野跡」歩道橋は、少し高いところから街路樹の様子を見るのに打ってつけの展望台のようなものです。
もちろん上ってみました。

「野跡」歩道橋の上から北方面を見たところ

歩道橋の上からなら、樹上に咲くタイサンボクの花も見下ろすことができます。
こうして見ると、バス停の屋根の上の方で、花が咲いている様子がよくわかりますね。
中央分離帯には、2024年12月にこの「名古屋の街路樹」でも取り上げたトウジュロの木が植わっているのが確認できます。

「野跡」歩道橋の上から南方面を見たところ

木が植栽されている間隔は違いますが、北方面を見たときと同様に、樹上に白い花が咲いている様子がよく見えます。

「かもめ横断」歩道橋の南側から北方面を見たところ

あおなみ線「稲永」駅の北東にある「一州町」交差点にある「かもめ横断」歩道橋。
ここにも上ってみました。

「かもめ横断」歩道橋の上から、すぐ脇に植栽されているタイサンボクを見たところ

この歩道橋は、すぐ脇にタイサンボクが植栽されているので、より近くで花の様子を観察できます。
※花のアップの写真は、記事の後半でご紹介します。

「かもめ横断」歩道橋の上から南方面を見たところ

よく見ると、右側の緑の手前側にポツポツと見える白い点描が、タイサンボクの花です。
北西(写真の右端)は十一屋川緑地と隣接しているため、歩道のタイサンボクと、その背景の木々が一体化して見えますね。
写真の左上部を横に通っている白っぽい直線が、あおなみ線で、左端に「稲永」駅があります。

北端の「築地口」交差点から南西方面を見たところ

港区らしい錨(いかり)のモニュメントがありました。
約6キロに及ぶタイサンボクの並木道も、ここで終わりです。

樹上に咲くハスのような
タイサンボクの花をクローズアップ

咲いているタイサンボクの花(左上)と枯れた花(右下)

樹上のハスに例えられるタイサンボクですが、散り方はハスと違い、花びらは枯れてしまってから落ちるスタイルのようです。

きれいに咲いているタイサンボクの花

本当にハスの花によく似ていますが、花の中心の様子はやはり違います。

ハスは、シャワーヘッドのような形の「花托(かたく)」がメシベを包み込み、その周りをたくさんのオシベが囲んでいますが、タイサンボクは、縦に伸びた「花軸(かじく)」の上部に、釣り針のように先端が曲がったメシベがたくさん付き、その下に多くのオシベが集まっています。

上から見たタイサンボクの花

かもめ横断歩道橋の上から、すぐ脇に植栽されているタイサンボクの花を見下ろしたところなのですが、右下の花びらのくぼみに、役目を終えたオシベが落ちて、たまっているのが見えます。

タイサンボクの花4態(1)

タイサンボクの開花期は5月〜7月とされます。
6月は、咲く前や咲いた後の花の様子を見ることができるので、見ごろといっていいと思います。

タイサンボクの花4態(2)

写真左上は「真下から見た花」、右上は「枯れたのにまだ花軸に花びらが付いている花」。
左下は「花びらが脱落した直後の花軸」、右下は「花びらもオシベも全て脱落して結実を待っている花軸」。

どの姿も独特で、興味深く鑑賞しました。

タイサンボクの足元に咲いていた花たち

特に印象に残った足元の野花たちをざっとご紹介したいと思います。
いずれも推定ですが、
上段左から右へ、ヘラオオバコ、ムラサキウマゴヤシ、ヒメジョオン。
下段左から右へ、カンナ、コマツヨイグサ、タイトゴメ。

街路樹を鑑賞する散策は、エリアや季節が違うだけで、足元に咲く野草たちの顔ぶれにも変化があり、楽しくてやめられません。

今回ご紹介したタイサンボクの並木道は、約6キロと長いこともあり、歩き通すのは結構大変なので、サイクリングやランニングのコースとして、または、あおなみ線や市バスを活用するなどして楽しんでみてもいいのかなと思います。

タイサンボクの開花時期は結構長いので、今シーズン中にまた訪れてみたいと思っています。

※掲載情報は公開日時点のものとなります

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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