名古屋の街路樹【中村区~中区・名古屋を代表する景観の一つ「桜通のイチョウ並木」】名古屋市中村区・中区

かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

市の中心部を東西に横断する桜通でイチョウがまとまって植栽されている範囲(車道+歩道)=オレンジ色の点線部分
目次

名古屋市都市景観保存樹林、まちなみデザイン20選(2018年度)
にも選ばれた美しいイチョウ並木

晩秋の行楽の王道といえば「紅葉狩り」ですが、街路樹が充実している名古屋では、まちなかで本格的な紅葉や黄葉を楽しむことができます。
今回は「名古屋を代表する主な並木道」として市のホームページでも紹介されている「桜通のイチョウ並木」を散策してきました。

※本記事中の写真は全て2025年11月27日に撮影したものです。

「日銀前歩道橋」上の西側通路から西方向を見たところ

イチョウ並木の範囲は、中村区名駅五丁目(西端)から中区錦一丁目(東端)の約1.1キロで、西端は名古屋駅、東端は「日銀前」交差点となっています。
「日銀前」交差点から西方向にある「泥江町(ひじえちょう)」交差点までは、両側の一般車線と緩速車線の分離帯と、歩道沿いにイチョウが植えられ、全体で4筋のイチョウ並木が形成されています。
このイチョウ並木は昭和12(1937)年、名古屋駅の移転と、名古屋汎太平洋平和博覧会の開催を期に植えられたもので、それぞれの木が建物の5~6階ぐらいの高さがあるため、迫力があります。

今回は「日銀前」交差点から西(名古屋駅方面)へ向かって散策してみたいと思います。

四角形に巡らされた「日銀前歩道橋」(東通路から西通路方面を見たところ)

桜通(東西)と伏見通(南北)が交差する「日銀前」交差点には横断歩道がなく、四角形に歩道橋が巡らされています。
各方角の通路は結構長くて、それぞれおよそ50メートルほどあります。

「日銀前歩道橋」上の東側通路から東方向(久屋大通方面)を見たところ

「日銀前」交差点から東方面には緩速車線はなく、歩道と中央分離帯に多様な街路樹が植えられており、まばらにイチョウの姿も見られます。

「日銀歩道橋」の下、南東側から西方向を見たところ

ここから、西方向(名古屋駅方面)を目指します。
この辺りはまだ黄葉していない緑の葉の木が多いようです。

少し進むと、また歩道橋が見えてきました。
「丸の内歩道橋」です。

「丸の内歩道橋」の上から西方向を見たところ

この辺りもまだまだ緑色の葉のイチョウが多いですね。
日当たりや風、温度層の違いによって、黄葉の進み具合に差が出ているようです。

「丸の内歩道橋」の上から見たイチョウの葉2種
(写真左:歩道橋の西側、写真右:歩道橋の東側)

「丸の内歩道橋」を挟んで西側のイチョウ(写真左)は黄色く色づいているのに、東側(写真右)は緑色のままでした。
ほんの少しの環境の違いだと思うのですが、本当に不思議ですね。

名古屋駅に近づくほどに黄葉が進んで…

「桜橋東」交差点から西方向を見たところ

堀川にかかる橋を「桜橋」といい、この辺りから、かなり色づいた株が増えてきました。
桜橋には、おしゃれなデザインレリーフや、サクラを模した電灯が設置されていて、結構見応えがあるので、訪れる機会があればぜひチェックしてみてくださいね。

「桜橋東」交差点から振り返って東方向を見たところ

黄緑色から黄色、オレンジがかった黄色と、グラデーションのように見えて、きれいですね。

「桜橋西」交差点から西方向を見たところ

名古屋駅の高層ビル群を背景に立ち並ぶイチョウの木々。
ビル群の青灰色と、ボリュームのあるイチョウの黄金色のバランスが絶妙で、おしゃれな空間になっています。

「泥江町」交差点の東側から西方向を見たところ

「泥江町」交差点は、桜通と江川線が交わる地点で、上には名古屋高速6号清洲線が通っています。

「泥江町」交差点から東方向を見たところ

イチョウは成長が速く、生命力が強いという特徴があります。
昭和12(1937)年にこのイチョウ並木が誕生したとき、実はイチョウとサクラが交互に植えられたのだそうですが、サクラの方は車の排気ガスなどによって枯死し、ほとんど残っていないとのことです。
しかし、信号機のある交差点の各角には1~2本のサクラが目印のように存在しています(当時のものが残っているのか、後から植えられたのかは不明です)。
サクラは赤く紅葉するので、本数は少なくてもよくわかります。

「名駅三丁目南東」交差点から西方向を見たところ

「泥江町」交差点から西側は緩速車線がなく、歩道沿いにイチョウ、中央分離帯にはクスとサツキが植えられています。

名古屋駅の桜通口から東方向を見たところ

桜通のイチョウ並木の西端(名古屋駅前)です。
ここで見えている数本のイチョウは、夜間ライトアップされるため、また違った美しさを楽しめます。
写真の中央右側部分は、かつて名古屋駅の表玄関口のシンボルだったモニュメント「飛翔」が撤去された跡地です。
現在はリニア中央新幹線の開業に向け、「まちにつながる歩行者空間」を目指して再整備中とのことです。

路上に落ちていたイチョウの葉と種子(ギンナン)

イチョウは雌雄異株で、雌株にしか種子はできません。
種皮が臭気を放つため、近年は街路樹には実のならない雄株が植えられることが多いそうですが、桜通のイチョウ並木では、上の写真のような光景が複数箇所で見られたため、一定数の雌株が存在していると考えられます。

「日銀前」交差点から名古屋駅までの約1.1キロ。
黄葉が進む巨木を見上げながらの散策は、長いようであっという間でした。
名古屋のど真ん中で本格的な黄葉を楽しめ、充実した気分で帰路につきました。

※掲載情報は公開日時点のものとなります

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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