【愛知・あま市】日本で唯一の「漬物の神社」で1300年。「香乃物祭」の魅力をフカボリ!途絶えかけた伝統の味も復活

 日本の食卓になじみ深い「お漬物」。実はその発祥とされる場所が、愛知県あま市にあるのをご存知でしょうか?あま市上萱津にある「萱津神社(かやつじんじゃ)」は、日本で唯一、漬物の神様を祀る神社。ここで毎年8月21日に行われているのが、1300年以上の歴史を持つ伝統行事「香乃物祭(こうのものさい)」です。塩と野菜を奉納する「漬込神事」が今年も行われる予定で、神事には一般の方も参加することができます。さらに今年の香乃物祭では、時代の変化とともに一度は途絶えかけた “伝統の漬物” が復活し、販売が再開されます!
 今回は、なぜ尾張が漬物発祥の地と呼ばれるのか、そして “伝統の漬物” 復活劇の背景にある地元の人々の想いをフカボリします。

昨年の様子
目次

なぜここが「漬物発祥の地」?1300年前の信仰と尾張の風土

 かつて神社が位置する尾張平野(濃尾平野の東側)は海岸に面した環境でした。人々は神前へ初物の野菜や海産物をお供えして豊穣を祈っていましたが、ある時、甕(かめ)の中に野菜と海塩を一緒に入れて供えたところ、偶然にも程よい塩漬けが出来上がりました。人々は腐らず風味が長持ちするその塩漬けを、神から賜った万病を治すお守りとして重用したそう。これが日本における漬物の起源と言われています。※諸説あり

 後にこの地を訪れた日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に献上した際、「藪ニ神物(やぶにこうのもの)」と言ったことから「香の物」と呼ばれるようになったという言い伝えも残っており、神様への感謝と尾張の自然環境が、現在の漬物文化を生んだようです。

存続の危機を乗り越えて。地元有志が立ち上げた「新たな一歩」

 長年愛されてきた上甚目寺の伝統的な漬物ですが、近年は新型コロナによる規模縮小に加え、食品衛生法の改正(漬物製造業の許可制・施設基準の厳格化)といった環境の変化により、作り手が減り消滅の危機に直面していました。

そんな中、「地域で採れた野菜を、地域の人の手で漬け、届けたい」と地元の有志が立ち上がり、新たな漬物工房を開設。地元の農家が育てた伝統野菜「かりもり」を使い、粕漬けをベースにした伝統の製法をもとに、現代に合わせた形で漬物づくりを再開しました。

 今年の香乃物祭では、この復活した漬物が初お披露目・販売されます!今後は毎月21日の「漬物の日」にも定期販売が行われる予定となっており、地域の食文化を未来へつなぐ第一歩として注目を集めています。

熱田神宮との深いつながりも。「香乃物祭」の見どころ

 お祭り当日は全国の漬物業者や参拝客が集まり、神事や漬物の販売が行われます。毎年1,000人ほどの参加者で賑わう「香乃物祭」。日本でここだけの “漬物のお祭り” へぜひ一度足を運んでみてはいかがですか。

祝詞奏上(のりとそうじょう)のあと神饌(しんせん)をささげ、巫女の舞が奉納される

一般参加もできる「漬込神事(つけこみしんじ)」

神前に塩と野菜を納める伝統の「漬込神事」には、一般の方も参加可能。ここで自ら漬け込んだ漬物は、熟成された後に、日本武尊が祀られている名古屋の熱田神宮へと奉納されます。東海地方の歴史ある神社同士のつながりを感じられる貴重な体験です。

地域の賑わいを感じる販売ブース

全国の漬物展示・販売や、野菜の形をしたお守りの販売も行われます。自分や家族のお土産にもおすすめです。

イベント概要

※当日は熱中症対策・水分補給を万全にしてお出かけください。

おわりに

 普段何気なく食べているお漬物も、歴史を紐解くと尾張の地の恵みや人々の信仰心から生まれたことが分かります。

 1300年の時を経て受け継がれ、地元の人々の想いによって新しく生まれ変わった伝統の味。今年の夏は、あま市の萱津神社でその歴史と風味に触れてみてはいかがでしょうか。

※掲載されている情報は公開日時点のものです

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