旬を食べよう~東海地方の伝統野菜~【八事五寸(やごとごすん)にんじん】名古屋市

日本列島のほぼ真ん中辺りに位置する東海地方は、古くからモノやヒトの往来が盛んで、豊かな自然と過ごしやすい気候に恵まれていることもあり、野菜づくりが盛んな地でした。

「あいちの伝統野菜」に選定されている「八事五寸にんじん」
(名古屋市農業センター「delaふぁーむ」の農産物売店にて購入)
目次

八事地区(現・名古屋市天白区八事)発祥の色が濃く甘みの強いニンジン

少しずつ寒い日が増えてきて、肌の乾燥やカゼなどの感染症が心配な季節になりました。
身体を内側から強化するのにいい食材に、これから旬を迎えるニンジンがあります。ニンジンには、体内に取り込まれるとビタミンAに変わるカロチンが野菜の中で飛び抜けて多く含まれており、ビタミンB、Cのほか、カリウム、カルシウムといったミネラル分も豊富。
特に、ビタミンAやCは、抗酸化ビタミンの代表格で、身体の抵抗力を高め、皮膚や口、目、消化管などの表面を滑らかに保つ作用があるとされています。
栽培法の多様化によって年中店頭に出回っていますが、にんじんの本来の旬は冬なので、この時期のものは栄養価の含有量も甘みも多くぜひ食べたい食材です。

「あいちの伝統野菜」にも名古屋市内の八事地区発祥の「八事五寸にんじん」があり、旬は12月~3月とされています。

葉と根を切り離したところ
葉の部分は約70センチ、根の部分は12センチと16センチ

上の写真の八事五寸にんじんは、11月下旬に名古屋市農業センター「delaふぁーむ」の農産物売店で購入したものですが、出始めのこの時期限定で、葉付きで販売しているということでした。
確かに色が濃くて栄養も豊富そうですが、にんじんの葉を食べたことがないなあと戸惑っていると、葉の食べ方の紹介もあったので、全部食べ尽くす気満々で買いました。

味つきがよく煮崩れしにくい/ねの部分より栄養価の高い葉っぱも美味しく

「あいちの伝統野菜」のHPにおすすめ料理として「煮物、サラダ」とありましたので、まず煮物とサラダを試してみましょう。

生で千切りサラダ
右奥はクリームチーズを塗った食パンにサラダを挟んだ簡単サンドイッチ

素材の味をそのまま味わう「サラダ」です。
1)千切りにした八事五寸にんじんに塩こしょうをふり、しんなりとして水気が出てきたら絞ります。
2)酢とはちみつ、オリーブオイル、刻んだクルミを加えてよく混ぜます。
※調味料の分量は、お好みで調整してください。
3)仕上げに、八事五寸にんじんの葉先を刻んでパラパラとふりかけたら完成。
刻んだ葉はパセリみたいで彩りもよく、レモングラスのような香りが食欲をそそります(苦手な人は省いてくださいね)。
そのまま食べても美味しいですが、クリームチーズを塗ったパンに挟んで食べたら、美味しかったです(今回は食パンしかなかったので食パンに挟んで食べましたが、フランスパンなどのハード系の方がより合うと思います)。

根菜ゴロゴロの煮しめ(主役は八事五寸にんじん)

次は「煮物」。
定番の根菜の煮しめですが、今回はニンジン多めです。
「あいちの伝統野菜」のHPでも特徴として「柔らかく早く煮えるが、煮崩れしない。甘みが強く味付きがよい」とあり、実食してみて「全てその通り!」と感動しました。

ほかにも、コンソメスープと牛乳と煮てミキサーにかける「ポタージュ」や、さとうと塩こしょう、バターで煮込む「グラッセ」など、次々と献立が思い浮かびます。
これだけ元の素材がいいと、どの料理も美味しく仕上がる気がします。

八事五寸にんじん丸ごとかき揚げ

おすすめの煮物とサラダを実食したので、ここからは、満を持して葉を食べていきます。
葉には、カリウムやカルシウム、ビタミンCが、根の部分より多く含まれているそうなので、栄養的にもぜひ取り入れたい部分です。

まずは、売り場で紹介されていた「葉の食べ方」で気になった「かき揚げ」です。
茎の部分を取り除いた葉を1センチぐらいの長さに切り、薄切りにしたタマネギや、小さめに切った八事五寸にんじん、カニカマ、レンコン、シイタケの軸などと一緒にざっくりと混ぜて、かき揚げにしました(具材は、手持ちの余り物)。
温かい天つゆで食べたら美味しかったです。
少しクセのある香りと苦味がありますが、ほかの食材の甘さや香りと合わさって不思議に味がまとまって、栄養がぎゅっと凝縮した感じもありました。

八事五寸にんじんの葉っぱのしっとりふりかけ

同じく、売り場で紹介されていた「葉の食べ方」にあった「ふりかけ」です。
1)先ほど取り置いておいた茎の部分を1センチほどの長さに切り、ごま油で炒めます。
2)粗みじんに切った油揚げ、削りぶしを炒め合わせ、酒、みりん、しょうゆで味付けます(具材の油揚げは手持ちの余り物で、合いそうだったから入れてみました)。
3)少量の湯を加えて煮汁がなくなるまで加熱したら出来上がりです。
カラカラに炒り付けるのではなく、しっとりとした仕上がりを目指しました。
これ、かなりのヒット作です。
ご飯にかけても美味しかったし、酒のアテにも合うと思います。
茎は「ジャキジャキ」と少し歯応えがあるので、歯の弱い方にはあまりお薦めできませんが、削りぶしのうまみ、味のしみた油揚げ、鼻に抜ける八事五寸にんじんの葉の独特の風味と相まって、自分的に総合力が高かったです。
これを味わうために、また葉付きの八事五寸にんじんを買って来ようかと思っているほどです。

実際調理してみて感じたことは、根の部分を切ったときの色の鮮やかさと瑞々しさ、包丁で皮をむいたときの肉質のやわらかさ、煮たときの煮崩れにくさなど。
味も甘みが強く、「ニンジン買うなら八事五寸」と思ってしまったほどです。

これから旬を迎え、栄養価も高まる八事五寸にんじんは、名古屋市内の産直店などで販売しています(入荷状況は要確認)。

※掲載情報は公開日時点のものとなります

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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