東海さすらい旅日記【岐阜県高山市】冬の飛騨高山① 静寂の夜

 名古屋のバスターミナルを出たのは夜の8時半。高山行き最終便の高速バスに乗りこんだ。車窓から見える名古屋の高層ビル群。異国の地へ夜の便で着いて、初めて見る町の風景を眺めながらダウンタウンに向かう感覚がした。

 乗客はほぼ外国人旅行客。おそらく高山に泊まり、白川郷や金沢へ向かう旅人たち。異国にいる感覚になったのはそのせいかも知れない。周りから聞こえてくる会話の内容はまるでわからない。その感覚は海外にいる時のそれだ。途中休憩のサービスエリアでも運転手は英語表示で戻り時間を僕に示す。「日本人ですよ」などと余計なことは言う必要はない。僕も異国人に交じって旅をしている。

 高山駅に着くと、外国人たちはバスのボディからトランクを運び出す。そして、足早に宿へと散らばっていく。駅周辺の記念写真を撮るわけでもなく、旅慣れた感じであっという間にみんないなくなった。

 高山駅は何年か前にモダンに建て替えられた。昔の情緒ある駅舎の方が好きだが、国際観光都市の玄関口としては相応しい堂々たる面構えになっている。深夜11時を回っていた。町には観光客も住民も歩いていない。駅からホテルへ歩いて向かうと、雪を被った高山の観光マップ看板。これはかつて仕事でお手伝いしたマップ看板。10年以上経っても、まだ現役で頑張っているのが嬉しい。雪を払ってあげたいくらいの気持ち。地域に残る誇りある仕事。

 ホテルへはチェックインが12時を回ることを伝えていたので、少し遠回りして向かった。深い雪ではなかったが、町はうっすらと雪化粧。高山らしい飛騨の家具屋、格子が美しい住居。外国人だったらこんな写真を撮るんだろうなと思いながら。

 少し裏筋を歩いた。地元の人たちが行くであろうささやかな歓楽街。日が変わりそうな時間。土曜の夜というのに人はほとんど歩いていない。

 ホテル近くの宮川の川べりまで足を伸ばした。高山のよさはこの川にあると思う。ここへ来ると高山へ来た感じがする。この川が好きだ。鍜治橋の欄干の両サイドには向き合う手長・足長像。どうやら夫婦らしい。高山名物のご夫婦に迎えられ、日が変わった後にホテルに着いた。

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この記事を書いた人

愛知県豊橋市生まれ。
出版社、シンクタンク勤務を経て、現在は一般社団法人ほの国東三河観光ビューローのマーケティングディレクター。旅人総研代表。愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)。
東海地方を中心に、地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。生まれ育った愛知県東三河に腰を据え、地元活性のために奔走する。また、旅人総研代表として、講演やフォトラベライター(旅するカメラマンライター)などの個人活動も実施。旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。

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