ご縁をいただき、飛騨古川へ講演旅。以前、この町で観光地域づくりの仕事をしたこともあり、馴染みのある町だ。ただ、この町には尊敬する市長がいて、尊敬する観光実践者がいて、尊敬する実践派公務員がいる。そこで厚かましくも講演することに躊躇はあった。けれど、かつてお世話になった町、そしてせっかくのご縁。僭越ながらの気持ちを持ちながら、講演をお引き受けした。かつては全国に講演旅に出かけた。初めてでも何度目かでも、必ず前入りしてその町の様子を見てから講演に挑んだ。今回もそう。もう10回以上来ている町だが久しぶりにこの町を歩き、まずは改めて空気を感じ取ることにした。

特急ひだに乗り、高山で最終の普通電車に乗り換えた。飛騨古川駅に着いたのは、深夜11時過ぎ。駅には、地元の子どもたちが書いたであろう微笑ましい歓迎ボード。それだけで心が和む。駅前には人など歩いていない。車も待っていない。誰もいない静かな駅前通りを歩いてホテルに着いた。


遅い時間なのに、最終電車で訪れたたった一人の旅人を待っていてくれた。ホテルの入口にも飛騨弁で歓迎の言葉。この町に来て2つ目の心ほっこり。電飾だったけど、この町のシンボルのろうそくに火が灯っている。


朝食は囲炉裏の部屋が用意されていた。トーストとコーヒー程度の朝食と思っていたので意外だったが、朴葉味噌などの飛騨料理を味わう喜びの朝。

講演は午後だった。午前にたっぷり時間がある。地図を見なくても歩けるほど何度も歩いている町だが、改めて飛騨古川の町を歩いた。町自体は大きくはない。町筋を3本ほど歩けばほぼ飛騨古川の町は歩ける。



飛騨古川のアイコンでもある白壁の土蔵群。そこに流れる小川のせせらぎとそこで泳ぐ鯉たち。お寺、酒蔵、ろうそく店、そして普通の住居も飛騨独特の建築様式で、歩いていて飽きることはない。町筋の向こうに山が見える。四方に見えるその風景が好きだ。そして、電柱電線がないから空が広い。



この町へ来るとほっとする。日本の原風景的町並みに暖かい飛騨文化を感じる。町ゆく人たちも心穏やかに見える。知り合いではないのに知り合いのような親しみを感じる。そして町の人たち同士が繋がっているようにも見える。



飛騨には飛騨高山、白川郷、下呂温泉と国内外に知られる横綱級観光地がある。ただ、この飛騨古川も名脇役として存在する。忘れてはいけない飛騨の良さが残り、飛騨には欠かすことができない素朴な存在感。暮らすように旅をする。まさにこの町にはその言葉が相応しい。そんな好きな町だからこそ、また訪れる時も変わらぬ姿でいてほしい。いや変わらぬ姿でいてくれるだろう。
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