「ほっ」とスポット【日本の歴史公園100選「二子山(ふたごやま)公園」(愛知県春日井市二子町)】~約1500年前に築造された(推定)前方後円墳を含む緑豊かな公園~

東海地方には、文化や歴史、自然の息吹や時の流れを感じることができる場所が数多く存在します。そんな、ひととき日常から離れて「ほっ」とできるスポットを紹介していきます。
今回は、国指定の史跡「二子山古墳」を中心に形成された「二子山公園」(愛知県春日井市)を取り上げます。

「二子山公園」の入り口
※本記事掲載の写真は、公園全景がわかる航空写真(春日井市提供)以外は全て2024年9月23日撮影

前方後円墳、ハニワ、遊具…
古代と現代が融合した緑豊かな歴史公園

名古屋市の北東部に位置する愛知県春日井市では、2020年3月時点で90基以上の古墳が確認されており、その中で最大のものが二子山古墳です。
二子山古墳は、盾(たて)形の周溝を含む全長が116メートル、面積約9千平方メートルの前方後円墳。
尾張北部一帯を治めた豪族の墓で、6世紀(西暦500年代)前葉に築造されたと推定されています。
そんな二子山古墳を中心に整備されたのが、「日本の歴史公園100選」にも選定されている二子山公園(約3.6万平方メートル)です。

公園入り口周辺に立ち並ぶハニワ

春日井市では、古墳時代に制作された本物を「埴輪」、現代に復元したものを「ハニワ」と表記しているそうで、公園入り口周辺には、毎年秋に行われる「ハニワ制作大会」で成形され、「ハニワまつり」で焼き上げられた「ハニワ」たちが立ち並んでいます。
どれもよくできていて、思わず見入ってしまいます。
ハニワ制作大会では、実際の埴輪をお手本に作り方の指導を受けながら一般参加者が制作するそうですが、若干のアレンジは認められているそうで、ネクタイ姿のハニワもありました。

※毎年9月に行われる「ハニワ制作大会」でハニワを形成し、10月の「ハニワまつり」で野焼きされたハニワたちは、二子山公園内や、二子山公園と落合公園を結ぶ「ふれあい緑道」に並べられるそうです。

園内各所に設置されたハニワたち

散策路にも、様々な表情の復元ハニワたちがたたずんでいます。

ハニワの形をした水場

こんなところまでハニワなの、と思わず笑ってしまいましたが、どことなく懐かしいような、温かい雰囲気を醸(かも)し出していました。

園内を流れる水路

緑が豊かな園内には、グラウンドや池、水路が配置され、家族連れや若者グループなどが思い思いに楽しんでいました。

遊具広場

滑り台や不思議な形をした遊具がある遊具広場。
手前の不思議な形をした遊具は、春日井市のHPで「古墳をイメージした遊具」と紹介されているもののようです。

園内中央部付近にある「ハニワの館(やかた)」

円墳をイメージした形状で、館内には復元ハニワや二子山古墳から出土した埴輪(実物)の展示コーナーがあり、窓際にはテーブルセットが点在します。
休憩がてら、古墳や出土品に関する知識を学ぶのにちょうどいい感じです。

「ハニワの館」前から見た二子山古墳

古墳といっても、周辺が平地なので、こんもりとした森のようにしか見えませんが、発掘からわかった情報や出土品のことなどをハニワの館で学んでから見ると、古代の人々の営みをほんの少し感じることができるような気がします。

目次

住宅街にありながら、古墳を身近に感じられる歴史公園

ただ散策するだけでも気持ちのいい公園ですが、その歴史を知ると何倍も良さを実感できるので、散策前に「ハニワの館」で古墳や出土品について学ぶことをお薦めします。

ハニワの館内の「ハニワ」と「埴輪」の展示コーナー

前列のオレンジ色のものが「ハニワまつり」で一般の人の手で作られたハニワ。
後列の青灰色の少し大きいものが二子山古墳から出土した「埴輪」。
二子山古墳出土の埴輪は、一般的な土器より高温で焼かれた須恵器(すえき)と同じ製法で作られているため、このような色をしているのだそうです。

ハニワの館内の展示品「馬形埴輪」

出土した埴輪には、様々な役割の人物を中心に、馬形や鳥形、家形といった形象埴輪も多数見つかっているそうです。
馬といっても、儀式用の飾り馬や農耕・使役用の裸馬などそれぞれ役割があり、展示されているのは農耕・使役用の馬形埴輪でした。
ずんぐりと安定感のある体型と、馬にしては珍しくピンと立ったしっぽが可愛らしくて、親近感を持ってしまいます。

ハニワの館内の展示品「脚付四連杯(須恵器)」

読み方は「きゃくつきよんれんぱい(すえき)」。
儀式で使用したものなのでしょう、変わった形をしています。
歴史の教科書で見かけたことがあるような、ないような。

ハニワの館内の案内板(二子山古墳や出土品について)

周辺の古墳群の系譜や、発掘調査で分かったことなどをわかりやすく説明してあります。

二子山公園を上から見た航空写真
(2003年12月撮影/写真提供:春日井市広報公聴課)

二子山古墳の周辺には「味美(あじよし)古墳群」と呼ばれる古墳群が分布しており、上の写真には、二子山古墳(右下にある大きめの緑の盾形地)のほかに、御旅所(おたびしょ)古墳(真ん中左の小さな緑の円形地)、白山神社古墳(右上にある緑の長方形地)も写っています。
右側を縦に走る茶色の線は名鉄小牧線で、周りは住宅地であることがわかります。
※二子山古墳の正式名称は「二子山古墳」ですが、同名の古墳が各地に複数あり、区別するために「味美二子山古墳」と表記(通称)することもあるそうです。

二子山古墳の周囲の散策路

二子山古墳の内部へは入れませんが、周囲はぐるりと全て歩けるように散策路が整えられています。
一周400メートルぐらいでしょうか。
ゆっくり歩いても、そんなに時間はかかりません。

二子山古墳の柵の内部の周溝

柵の内部のぐるりはお堀のように溝となっていて、そこから中心部にかけて土が盛り上げられている様子が、柵の外からでも少しわかります。
柵の内と外は若干季節の進み方が違うのか、柵の外ではまだ茎も伸び切っていないヒガンバナが、溝のほとりでは伸び伸びと咲いていました。

二子山公園に隣接する「御旅所(おたびしょ)古墳」(愛知県指定史跡)

御旅所古墳は、直径約31メートルの円墳。
二子山公園の敷地には含まれていませんが、すぐ脇にあるため、ついでに見ることができて得した気分になりました(隣接する前方後円墳の白山神社古墳も同様)。

春日井市内にあった古墳は、戦中、戦後に滅失したものも多いといいます。
そんな中、この二子山公園は古墳を身近な存在に感じさせてくれる貴重な場所だと思います。

日常を離れ「ホッ」とするために、古代から脈々と受け継がれている人の営みの息吹を感じるために、何度でも訪れたい場所です。

■二子山公園(ふたごやまこうえん) ※入園自由
〈1964年開園/日本の歴史公園100選〉
 ・住所:愛知県春日井市二子山町内
 ・TEL:0568-32-9100(ハニワの館)
 ・ハニワの館の開館時間:午前9時〜午後5時(毎週月曜と年末年始休館)
 ・駐車場(無料)の利用は午前9時〜午後5時(通年)
 ※2024年度「第34回ハニワまつり」は10月26日(土)午前10時半〜
  内容は、ハニワの野焼き・勾玉づくり・炊き出し・クイズラリーなど
  雨天の場合は順延
  問い合わせ先TEL:0568-33-1113(春日井市教育委員会文化財課)

※掲載情報は公開日時点のものとなります。

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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