水の都・夏めぐりの目的地は、松尾芭蕉奥の細道・むすびの地。芭蕉が46歳のとき、江戸を出発し、奥州・北陸を巡り大垣まで約2,400kmをめぐった旅紀行の終着点に、旅心がくすぐられないわけがない。コロナ前に日本一周ひとり旅をした時も、ひとつのハイライトとしてここに立ち寄った。その時は旅の途中の折り返し点だったけれど。
むすびの地の辺りはかつて川湊で宿場町として栄えたエリア。当時を思わせる川舟が浮かび、川湊の住吉燈台も当時の姿を残す。
むすびの地には、記念碑と芭蕉の像。奥の細道の旅をここで終えたとき、何を思っただろう。むすびの句は「蛤のふたみに別れ行く秋そ」。この句を最後に、ここから伊勢へ旅立った。
帰り道は水路をそのまま戻らず、郷土館経由で大垣城へ向かう。
大垣城の前には美濃大垣藩・初代藩主である戸田氏鉄の力強い騎馬像。関ケ原の戦いで西軍・石田三成の本拠地となった大垣城の姿も力強い。これまで歩いてきた水路・川も大垣城の水堀として利用されていた。
水の都・大垣、夏めぐりの最後は、水まんじゅう。水の都に相応しい、地元の銘菓。駅前の老舗に立ち寄り、水を浴び続ける水まんじゅうを見ながら最後の涼を感じる。
春は川べりや大垣城に桜が咲き誇り、大垣名物の観光たらい舟も運行される。おそらく訪れるのに最もふさわしいのは桜の季節だろう。けれど、あえて暑い夏に涼感を味わう旅もおもしろい。途中にあった新しい飲食店もそれぞれ立ち寄りたい。