かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

県立高校脇の花の小径
梅雨前後に咲く木の花の一つに、クチナシがあります。
公園や戸建ての生垣に使われるイメージの強いクチナシですが、街路樹でも植えられているところがあると知り、見に行ってきました。
※本記事中の写真は全て2025年6月19日に撮影したものです。

歩道にクチナシが植えられているという市道・野田35号線は、住宅地の生活道路という感じで、歩道には季節の花があちこちに植えられていました。

中でも、ひときわ涼しげな雰囲気を漂わせていたのがクチナシです。
少し近づくと、スーッと爽やかな香りが鼻をくすぐります。
ほかにも、フヨウやヒマワリ、グラジオラスなど、夏の花たちも点在しており、まさに「花の小径」といった雰囲気の歩道です。

クチナシは、ずっと続いて植えられているわけではなく、色々な植物の合間に点在している程度なのですが、その存在感は大きいです。
一重咲きと八重咲き

この道で見られるクチナシの花の大部分が八重咲きだったのですが、一部、一重咲きのものも見つけました。
一重咲きは地味なイメージがありましたが、よく見てみると、清らかな花びらやおしべ、めしべの存在感が大きく、凛とした美しさを感じました。

八重咲きはやわらかい雰囲気で、バラのようにも見えますね。
クチナシはバラ科なのかと思いきや、アカネ科の常緑低木。
美しいだけでなく、古くから薬用や染料としても重用されていたそうです。

訪れたタイミングがちょうど見ごろだったからか、つぼみから満開の花まで、様々な花姿が見られたので、撮影したものを並べてみました。
それぞれ違う花なのですが、一つの花が徐々に咲いていく様子を捉えたようにも見えて面白いですね。

清々しい白い花と、太陽のように鮮やかな花が隣同士で咲いていたので、対照的だなと思い、記念撮影してしまいました。
推定ですが、ルドベキアのように見えます。
目に楽しい道でしたので、思わず2往復してしまいました。
梅雨の時期から夏にかけて咲く花として、クチナシも覚えてもらえたらと思います。
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