
愛知県豊橋市にある「豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)」。パーク内で暮らす動物たちやのびのびと育つ植物たちの日常、季節のイベントなど、パーク内の様子を「のんほいの窓」から定期発信します!
今回は、のんほいパークが取り組む地域の貴重な生き物「ヤマトサンショウウオ」の保全活動をご紹介します。
渥美半島に息づく、幻の両生類との出会い
ヤマトサンショウウオは、カエルと同じ両生類の仲間。幼生期はカエルのおたまじゃくしのように手足がなく水中で過ごしますが、成長すると四肢が発達して陸上でも生活するように。この日本固有の生き物は、かつて渥美半島では絶滅したと考えられていました。
しかし2020年、のんほいパークの職員がヤマトサンショウウオの卵を発見したことで状況が一変。その後の調査で、この貴重な生き物が渥美半島で危機的な状況にありながらも生息していることが明らかになりました。バナナのような形をした特徴的な卵を数えることで、生息数を推定する地道な調査が行われたのです。この発見をきっかけに、のんほいパークでは本格的な保全活動がスタートしました。
命をつなぐ、地道な保全活動

ヤマトサンショウウオにとって脅威となっているのは、外来種のアメリカザリガニ。特に卵から幼生の時期は捕食されやすく、自然での生存率は決して高くありません。
この状況を改善するため、のんほいパークでは毎年生息地で卵の一部を採取し、人の手で孵化・育成した後、元の場所へ放流するという取り組みを実施しています。(外来種がいる)今の野外環境では生き残ることが困難な成長過程を人の手でサポートすることで、生息数の回復を目指しています。こうした地道な活動が、絶滅の危機にある生き物を守る重要な一歩となっているのです。
身近な生き物への関心が、未来を守る第一歩に
園内のひだまり交流館では、保全活動の一環として育てられたヤマトサンショウウオの一部を展示。普段は目にすることの少ない姿を間近で観察できる貴重な場となっています。休憩所としても利用できるので、パーク散策の合間にぜひ立ち寄ってみてください。
日本には、ヤマトサンショウウオのように絶滅の危機に瀕している身近な生き物がたくさん存在しています。こうした生き物たちに目を向け、興味を持つことが保全への第一歩。彼らの生息地で何が起きているのか、私たちの生活とどのようなつながりがあるのかを知ることが、共存への大切な糸口となるでしょう。
「身の回りにいるけど気がついていなかった、そのような動物たち」をきっかけとして、身近な自然環境と生き物たちについて考えてみませんか。私たちの小さな関心や行動が、これからの生態系を守る大切な一歩となるかもしれません。のんほいパークに訪れ生き物を見ることで、考えるきっかけにしてみてください。
豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)
公式HPはこちらhttps://www.nonhoi.jp/
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