東海さすらい旅日記【愛知県東三河地方】ほの国東三河・春のまつりめぐり

 コロナで中止を余儀なくされていた各地での祭事やイベント等がようやく戻ってきた。3年ぶり、あるいは4年ぶりといった具合に、各地の祭礼などの伝統祭事や市民イベント等が復活し、各所でにぎわいを見せた。

 数年ぶりということもあったが、まだ見ぬ地元の祭事やイベントに足を運んだ。歴史伝統文化の継承、市民文化のつながりにアフターコロナへの希望が見えた。
 豊川市の砥鹿神社例祭では、鏑流馬神事。馬に跨る武者たちは小学生から高校生までの地元の少年たち。全速で走る馬に跨り、両手を手放しで横に広げながら駆け抜ける。さながら、その姿は、空に舞うペガサスのよう。勇ましく、精悍で、少年たちの顔には誇りを感じる。

 同じく豊川市の牛久保八幡社では、うなごうじ祭(牛久保の若葉祭)。笹踊りの囃子方が歌に合わせて、ところ構わず道で寝っ転がる。これが何度も繰り返されながら続いていく。愛知県の無形民俗文化財にも指定される天下の奇祭。そんな春の風物詩が戻って来た。

 新城市の長篠城跡では、4年ぶりの長篠合戦のぼりまつり。長篠の戦いで倒れた将士を慰霊するために将士たちの家紋ののぼりが掲げられる。クライマックスは、鎧兜を身にまとった鉄砲隊による火縄銃演武。火縄銃の銃声とともに煙がのぼる。幾重ものの鉄砲隊による迫力ある演舞が続いた。今年は大河ドラマ「どうする家康」で長篠・設楽原の戦いも取り上げられることもあり、機運は盛り上がる。

 家康公がらみでは、豊橋市の賀茂神社で葵祭「大旗神事」が開催。家康公が遠州入国の際に参詣し、武運長久祈願のために納められたという大旗が掲げられた。

 春の桜の後、花関係のまつりも開催された。蒲郡名物のつつじまつり(蒲郡クラシックホテル)も、例年のように綺麗に咲き誇り、竹島周辺のにぎわいはさらに膨らんだ。

 豊橋のもみじ寺・普門寺では「青もみじまつり」。紅葉の名所は青もみじも美しい。朝の光を浴びるもみじの姿、境内は新緑の木々も相まって、春の清々しさを満喫できる。

 市民向けのイベントも復活。昨年は屋内で実施された豊橋の「とよはしアートフェスティ大道芸inとよはし」。天気にも恵まれ、屋外の広場に多くの人が集まり、笑顔と歓声と拍手が溢れた。

 祭事やイベントではないが、蒲郡の八剱神社や豊橋の民俗資料収蔵室など、鯉のぼりも各所でみられた。家庭で鯉のぼりをあげるところは年々減っているようにも思えるが、こうした場で、端午の節句が祝い続けられることは喜ばしい。そして日本の文化は継承されていく。

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この記事を書いた人

愛知県豊橋市生まれ。
出版社、シンクタンク勤務を経て、現在は一般社団法人ほの国東三河観光ビューローのマーケティングディレクター。旅人総研代表。愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)。
東海地方を中心に、地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。生まれ育った愛知県東三河に腰を据え、地元活性のために奔走する。また、旅人総研代表として、講演やフォトラベライター(旅するカメラマンライター)などの個人活動も実施。旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。

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