名古屋の街路樹【港区の内港地区を南北に走る「ヤシの道」】名古屋市港区

かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

↑港区でトウジュロが植えられている市道の範囲
 ※「西稲永」交差点以南の「金城埠頭線」と短い東西の「稲永公園線」の黄色の点線部分
目次

特色ある並木道「ヤシの道」

秋に花が咲く、もしくは特徴的な実がなる街路樹を探していて見つけたのが、港区の「ヤシの道」です。
金城埠頭線と稲永公園線に伸びる「ヤシの道」は、1986年(昭和61年)から名古屋市が始めた「特色ある並木道」づくりの一環として整備されたもの。
ヤシ類を植栽することにした理由は、「港町」や「南国」の雰囲気をかもし出すためだったそうです。当初は、成長の早いワシントンヤシが植えられたそうですが、時の経過とともに樹高が高くなりすぎ、強風時に葉や樹皮が落下するなど維持管理が難しくなったとして、2020~2021年に、成長が遅く葉が落ちにくいトウジュロに植え替えられました。
ヤシ科シュロ属のトウジュロは、シュロ属の中でも樹高や葉が小ぶりで、樹高3~7メートル、雌雄異株、開花期は5~6月、果実成熟期は9~12月の常緑小高木です(参考:ワシントンヤシはヤシ科ワシントンヤシ属、樹高約20メートル)。
『港土木だより』によると、維持管理がしやすく、「ヤシの道」としての景観を守りつつ危険性を軽減できるとして、植え替えが行われたとのことです。

↑金城埠頭線の「野跡」交差点にある歩道橋の中腹から南方向(汐止町方面)を見たところ

この歩道橋の上からは、南北と西方向に伸びるヤシの街路樹を俯瞰することができ、「ヤシの道」の鑑賞にとても便利です。

↑金城埠頭線の「野跡」交差点にある歩道橋の上から北方向(西稲永方面)を見たところ

確かに、「ヤシの木」っぽさがありつつ、車の交通を妨げないこぢんまりとしたたたずまいですね。

↑同じく「野跡」交差点にある歩道橋の下から北方向(西稲永方面)を見たところ

歩道橋のすぐ北西には市バスの「野跡小学校」バス停があります。
下から見ると、こぢんまりとしたトウジュロといえど、まあまあの存在感です。

↑「野跡」交差点にある歩道橋の上から西方向(稲永公園線・藤前干潟方面)を見たところ

こちらのトウジュロは植栽間隔が狭く、見応えがあります。
紅葉したほかの木々との対比も面白いです。

↑稲永公園線の西側から東方向(野跡交差点方面)を見たところ

稲永公園線のトウジュロ並木は、地上からだと、こんな感じに見えます。
夕日が当たっている部分が輝いて見えてきれいですね。

↑金城埠頭線の「汐止町」バス停から南方向(金城ふ頭方面)を見たところ

野跡交差点を過ぎた辺りから南へは「あおなみ線」が並走しています。
あおなみ線の正式名称は「名古屋臨海高速鉄道」といい、名古屋駅から金城ふ頭を結ぶ旅客鉄道で、11の駅があります。
周辺は産業基地である内港地帯ではありますが、バス、鉄道、車と、交通手段が充実していて、意外と訪れやすいエリアなのだと実感します。

知る人ぞ知るトウジュロの実

↑トウジュロの実

ヤシ類の実といえば、ココヤシの実であるココナツ(25~30センチの丸~卵型)を思い浮かべる人が多いと思いますが、ヤシ科には6亜科、190属(APG分類)あり、その多くが、房に小粒の実がたくさんつくタイプです。
この記事の最初の方にも述べましたが、トウジュロは雌雄異株、開花期は5~6月、果実成熟期は9~12月。
実は、成長点である頭頂から垂れ下がった房にたくさん付き、熟し具合によって、緑色から黄色、黒色へと変わっていきます。
漫然と見ているだけでは見過ごしてしまいますが、この時期に実が見られることを知っていれば、結構見つけやすいと思います。ただし、実を付けるのは雌株だけということも覚えておきたいところです。

↑雄花が咲き終わった後のトウジュロ

雌雄異株のトウジュロ。
雄株の花は役目を終えたら、葉と同様に、その花柄(かへい)は垂れ下がって、枯れていくのみです。
「お疲れ様」と声をかけたくなるような風情ですが、染め物の題材にもなりそうなかっこいいフォルムに見えてしまったのは私だけでしょうか。

港区のヤシの道(トウジュロの並木)は、産業基地である内港地帯によくマッチしており、南国情緒を感じさせる特徴的な立ち姿を観察できる空間でもあります。
花(5~6月)や実(9月~12月)が楽しめる時期もあることを覚えておきたいと思います。

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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