秋の中山道を歩いた。そもそも町歩きが好きだから、街道歩きも好きだ。街道筋には昔も今もある。そこが面白い。中山道にある69の宿場のうち、岐阜県内には17宿もの宿場があるとは知らなかった。知らなかったことが、逆に興味をそそる。これから岐阜県内の宿場町を歩いてみようと思う。まずは、江戸から数えて中山道51番目の宿、美濃加茂市の太田宿へ。

これまで東海道の宿場町はいくつも歩いているが、中山道は長野県内の海外にも知られる宿場町以外は、あまり歩いていない。ほぼ下調べもせず、美濃太田駅前の観光案内所で地図をいただき街道筋へ。ふと気づいたが、これまでめぐった宿場町は、東から西へと歩いていた。江戸から京都へ向かうという方が、なんとなく旅人的な感じがするだけだが。旧街道歩きは、もちろんその当時に面影や史跡などに思いを馳せることが一番の楽しみだが、それとは関係のない町の風景に出会うのも面白い。

街道には寺社が必ずある。何百年もの前の街道の旅人たちを迎え、旅の安全を見守り、旅人はこれらを参拝し、次の旅を続けていった。


街道筋の楽しみは建物ばかりではない。建物は残されてなくても道筋の形状が残されている。特に中山道を歩いているとそれを強く感じる。これらの景観は江戸の旅人たちも同じものを見ていたのだろう。


白壁の蔵や、かつての旅籠はまさに江戸情緒。


元旅籠や元脇本陣は開放されており、当時の雰囲気と旅人の休息気分が味わえる。


旧太田宿本陣門の向かいには、太田宿中山道会館。会館の向こうには木曽川が流れる。この川風景も江戸時代から変わらない風景なのだろう。


会館には飲食、物販のほかにも太田宿の歴史や文化が学べる充実の展示室がある。太田宿のまち歩きはここで学び、西から東へ向かってもよかったかも知れない。


この会館にはもうひとつ意外な建物がある。芸術家・岡本太郎氏の父、漫画家・岡本一平氏が晩年に暮らしていた住宅がここに再現されている。ギャラリーとしていくつかの作品も展示されている。こういった発見があるから町歩きは面白い。

最後は、昔ながらの蔵の雰囲気が残る酒造店御代桜を通り抜け、再び美濃太田駅へ。そして、次の宿場町である鵜沼宿へ電車で向かった。

