下呂市内をフィールドとする国際芸術祭「下呂ART DISCOVERY2026」が2026年9月11日に開幕(会期は11月8日まで)。世間的には下呂=下呂温泉という印象が強いと思うが、下呂は広く、またそれぞれの自然環境や地域に根付いた生活文化、歴史が奥深い。まさに、そこを見つける芸術祭なのかなと思う。開幕日から2日間、休みをとって全作品をめぐった。

会場は大きく自然エリアとまちなかにわかれる。まちなかと言っても、大都市のビル群があるわけでもなく、地方都市の駅周辺のまち部の趣だ。
まずは、下呂温泉街会場。下呂市内の観光地としてのメインはここだが、芸術祭の入口としてイントロダクション的な2つの作品が展開される。

温泉街中心部の近くの廃屋を活用したインスタレーション。山と川と森に囲まれた下呂で起こった出来事が表現される。絵やオブジェなどのアート作品だけではなく、その作品の背景にあるバックストーリーが文字として書き添えられ、そこに生きる人たちの人間模様が面白い。


作品の制作において進められた徹底的な取材。取材というよりヒアリング、もしくは日常会話だろうか。作品の裏に秘められた事実が興味を惹く。


下呂温泉合掌村には架空の遺跡発掘インスタレーション「飛騨下呂遺跡」。巨大な人骨と恐竜の骨が並ぶ。

もうひとつのまちなか展示は、飛騨萩原。電車で約10分、車でも約15分の近場にある。かつて飛騨街道の宿場町として栄えた街並みの商店街。今も残されている廃屋や空き店舗空間を利用しての展示などが繰り広げられる。理髪店は、まだ現役で営業しているのではないかと見間違うほど、営業時の状態が残されており、かつては髪を切りに来るだけではなく、地域コミュニティの場として解放されていたという広間もアート空間に変わる。はさみ、くし、カミソリ、温度計、コンセントなどが、当時の理髪店の空気感を伝えてくれる。



商店街のはずれには、楽器店。おそらくこの町の音楽文化はすべてここから発信されていたのだろう。楽器、カセットテープ、35mmフィルム。暗い部屋のなかで、それらの展示物たちが存在感を示す。


小さな元スーパーの空間には、飛騨萩原のまちなかの地図をモチーフにしたワークショップが展開されていた。この町を繋いできた文化が地図によって意識を高めてくれる。

かつては城跡だったところにある諏訪神社。蛇伝説があるという神社境内に蛇をモチーフとしたオブジェが鎮座する。

飛騨萩原の商店街は酒蔵や和菓子店もあり、新しいカフェや飲食店などをめぐるだけでも面白い。アートを通して、飛騨萩原のこと知る。それも芸術祭の大きな目的でもあり、役割でもあるだろう。


■下呂ART DISCOVERY 2026
2026年9月11日~11月8日まで
https://gero-art-discovery.jp
