東海さすらい旅日記【三重県伊勢市】遅い紅葉、初冬のお伊勢参り

 12月上旬から中旬に差し掛かろうとしていた。時期的には完全に冬のはずだが、三重県南部の伊勢にはまだ紅葉が残っていた。

 伊勢神宮内宮と内宮の表参道であるおはらい町を久しぶりに訪れた。いろいろな季節に訪れているが、紅葉のイメージがない。伊勢志摩全体でも紅葉名所と呼ばれるとことが少ない。ところが、内宮駐車場に着くと鳥居横には真っ赤な紅葉が迎えてくれ、今までに見たことのない姿として新鮮に映った。それは、たまたま自分が来ていなかっただけで、神宮は日本的四季の姿を見せてくれていたのだ。

 約800mのおはらい町を歩いていくと、そこにも紅葉が通りを覆いかぶさろうとしていた。ここにも遅い秋の風景。紅葉の彩りが古い町並みによく似合う。

 おはらい町は、いつ来ても賑わっている。けれど、いわゆるオーバーツーリズム感を抱かせない。ここは賑わえば賑わうほど、おはらい町らしさを発揮する。

 おはらい町の通りの両側には店がぎっちり。800mも続けば空き店舗があってもよさそうだが、空き店舗は見当たらない。古い町並みであるが、地元の老舗店舗ばかりではなく、スターバックスやスヌーピーやミッフィーのキャラクターショップも登場した。これらばかりが増えると違うイメージになってしまうが、アクセントとして新しい町を演出してくれている。

 おはらい町の中央部あたりには、食や物販が一画に集積するおかげ横丁。おかげ横丁の賑わいも相変わらずだが、歩いていてふと気づいたことがある。この町は空が広い。おかげ横丁だけではなく、おはらい町もそうだ。この界隈の良さはこの開放感にあると改めて思った。江戸時代のころそのままの空がおはらい町からは見える。

 おはらい町を1時間ほど散策し、内宮へ。閉門の17時近くになり、徐々に参拝客も少なくなっていた。紅葉の宇治橋を渡り、人の少ない内宮を参拝。

 手水舎も御手洗場も誰もいない。神聖な場がより神聖に感じる。清流五十鈴川に紅葉が映える。

 正宮をお参りし、内宮参拝を終えた。20年に一度行われる式年遷宮の準備は既に始まっている。次回は2033年。こうして神宮は繰り返し、繰り返し、常若の姿を見せ続けていく。

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この記事を書いた人

愛知県豊橋市生まれ。
出版社、シンクタンク勤務を経て、現在は一般社団法人ほの国東三河観光ビューローのマーケティングディレクター。旅人総研代表。愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)。
東海地方を中心に、地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。生まれ育った愛知県東三河に腰を据え、地元活性のために奔走する。また、旅人総研代表として、講演やフォトラベライター(旅するカメラマンライター)などの個人活動も実施。旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。

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