かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

※白鳥橋西交差点から熱田生涯学習センター北までは市道・熱田新田第2号線、名古屋学院大学西側の南端から北端までは市道・大宝二丁目第1号線、名古屋国際会議場西側の南端から北端(名古屋国際会議場北交差点)までは市道・大宝線第2号
世界デザイン博覧会を機に植えられたヒトツバタゴの並木道
毎年4月下旬から5月上旬にかけて、熱田区の名古屋国際会議場周辺の街路は、ヒトツバタゴの真っ白な雪のような花で彩られます。
特に、同会議場西側を南北に縦断する約1.1キロの市道(熱田新田第2号線、大宝二丁目第1号線、大宝線第2号)は壮観で、その一部が「名古屋市のまちなみデザイン20選」(第3回=2016年)にも選ばれています。
4月の下旬、今年も花が咲き始めたと聞いて、早速出かけてきました。
※本記事中の写真は全て2025年4月24日に撮影したものです。

名古屋市のホームページによると、このヒトツバタゴ並木は、平成元年(1989年)に開催された世界デザイン博覧会を機に、愛知県や岐阜県などの山地に自生する郷土の樹種をと植えられたもので、大宝線街路樹愛護会のご協力で美しく維持されているのだそうです。

並木の南部分は、東側の歩道のみに植えられています。

この南北の道は「熱田巡回」市バスの巡回路になっていて、約1.1キロの範囲に(南から)「熱田生涯学習センター」「熱田西町」「名古屋国際会議場」の3つのバス停があります。

この並木の南側約3分の1は東側の歩道のみ、北側約3分の2は両側の歩道にヒトツバタゴが植えられていて、ここがその境界に当たります。

名古屋国際会議場は、現在改修工事のため休館中で、ぐるりを白い壁で覆われています。リニューアルオープンは2027年4月の予定だそうです。
初夏を彩る「雪のような花」

ヒトツバタゴは、モクセイ科の落葉高木。
樹高が20〜30メートルにもなるほど大きく育つ木で、学名は「Chion anthus retusus」といい、直訳すると「葉がややへこんだ形の、先が鈍く尖った雪のような花」となるそうです。
確かに、真っ白な花が描き出す点描が、大きな木に雪が降り積もっているように見えますね。

木の下から見上げると、こんなふうに見えます。
葉と花のすき間から差し込む木もれ日が心地良かったです。

大木の下ですが、うっそうとした暗い木陰ではなく、適度な明るさのある木陰なので、楽しく歩けます。

ヒトツバタゴの花を一つひとつよく見てみると、細長い花弁が4枚あります。
両性株と雄株があるそうで、両性株に咲く両性花には雄しべと雌しべがあり、雄株に咲く雄花にはそれらがないそうですが、パッと見ただけではなかなか区別がつきません。

ここからは見通しがよく、木と木の距離が比較的短いので、ズラーっとヒトツバタゴの並木が続いている様子がよくわかります。
先に述べた「まちなみデザイン20選」に選ばれたのは、写真中央部に見える歩道橋から南方向を見た景色なのですが、名古屋国際会議場の改修工事に伴って、残念ながら現在はこの歩道橋も立ち入り禁止になっています(歩道橋の上からの景色は名古屋市のホームページで確認できますよ)。

下から見ただけでもこんなにきれいなので、歩道橋の上から見た景色はさぞ圧巻でしょう。
2027年4月の名古屋国際会議場リニューアルオープンにより再度通行可能になる歩道橋からの景色を楽しみに待ちたいと思います。
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