東海さすらい旅日記【静岡県浜松市】浜松の発酵食醸造元を巡る旅

 発酵食が旅の目的として注目されている。日本の食文化のひとつの象徴である発酵食は、日本酒、味噌、醤油、酢など多岐にわたり、各地でその伝統が引き継がれている。

 浜松にも代々伝わる歴史ある発酵食の醸造元があり、これらの蔵元を巡った。

明治初期創業の明治屋醤油は6代にわたり続く老舗の醤油屋。100年前から変わらぬ製造法を続けており、今にその醤油醸造文化を伝えている。工場・店舗家屋とそれに続く離れの3棟は、国の登録有形文化財に登録されており、その存在だけでも価値がある。

 工場内は見学(要予約)もできる。案内をいただきながら、歴史ある工場の中に足を踏み入れる。醤油の匂いが充満した工場内は包み隠さず公開されており、いずれの姿も初見であり興味深い。

木造3階建ての醸造工場内は、文化財だからということではなく、昔ながらの構造やどこか懐かしい雰囲気が残されており、まさに現役の産業遺産であることを感じる。

 工場見学の後は、醤油搾り体験。体験コースは3種類があるが、今回は、約1時間の醤油搾り体験。もろみを布で包み、圧力をかけて搾り出し、搾った醤油はマイ醤油として瓶詰にして持ち帰れるのが嬉しい。

 搾り方による味の違いを、豆腐を食しながら味比べ。工場見学における説明から、実際の搾り体験の後だけに、その味の違いの感じ方はリアリティがある。

 明治屋醤油で醸造されるさまざまな商品は店舗で販売されており、旅のお土産にもなる。工場見学から体験、買い物までできる醤油蔵。発酵食文化を伝えてくれる貴重な体験となった。

 明治屋醤油から車で10分ほど行くと、浜松を代表する酒蔵、花の舞酒造がある。庚申寺の門前の石畳の参道に蔵を構える。

 江戸時代後期創業の老舗で、静岡県産米と南アルプスからの地下水にこだわった酒造りを続けている。花の舞酒造で醸造された何種類の日本酒などを飲み比べできるコーナーもあり、花の舞の酒を堪能できるのが何よりの魅力だ。

 もちろん、販売もされており、試飲で気に入った好みの酒の購入もできる。

 工場見学も常時受け付けており、団体以外は予約なしで見学ができる。運よく杜氏の詳しいご案内をいただけた。試飲や買い物に合わせて見学して酒造りの現場を解説付きで見られるのは貴重な体験だ。

 工場を出ると、庚申寺の境内の横に出る。境内には、花の舞の酒樽が20個積まれた圧巻の姿。

 浜松は産業観光のまち。オートバイや楽器のイメージが強いが、こうした伝統的な発酵食文化も貴重な産業観光資源として公開されている。浜松の旅の魅力のひとつとして訪れたい。

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この記事を書いた人

愛知県豊橋市生まれ。
出版社、シンクタンク勤務を経て、現在は一般社団法人ほの国東三河観光ビューローのマーケティングディレクター。旅人総研代表。愛知大学地域政策学部非常勤講師(観光まちづくり論)。
東海地方を中心に、地域を盛り上げる観光事業や集客計画など、手がけてきたプロジェクトは数知れず。生まれ育った愛知県東三河に腰を据え、地元活性のために奔走する。また、旅人総研代表として、講演やフォトラベライター(旅するカメラマンライター)などの個人活動も実施。旅と写真とロックを愛する仕事人で、公私ともに、さすらいの旅人として各地を巡っている。

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