名古屋の街路樹【天白区・区西南部の丘陵地を彩るサルスベリの並木道】名古屋市天白区

かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

市道・天白第6号線と、同・天白黒石第17号線で、サルスベリが楽しめる範囲(歩道)=ピンク色の点線部分
目次

丘陵地帯の住宅街を彩るサルスベリ

夏の始まりから晩夏(初秋)にかけて、色鮮やかな花を咲かせ続ける※街路樹「サルスベリ」の花が見ごろを迎えています。
今回は、丘陵地帯の閑静な住宅街に咲く色とりどりのサルスベリ並木を訪ねて来ました。

※サルスベリはミソハギ科の亜高木で、色鮮やかなフリルのような花の一つひとつは一日花ですが、房のように集まって付いたたくさんのつぼみが次から次へと咲いていくために、夏の間ずっと咲き続けているように見えます。

※本記事中の写真は全て2026年8月6日に撮影したものです。

市道・天白黒石第17号線東南端の「一ツ山住宅口」交差点から西方面を見たところ

両側の歩道に、白と赤のサルスベリの花が咲いているのが見えます。
この辺りは緩やかな丘陵地帯になっていて、ここから西方面に向かって、しばらく上り坂が続きます。

「一ツ山住宅口」交差点から西方面へ進んだところに咲いていたサルスベリ

名古屋市発行の「みどりの年報2025」街路樹部門によると、サルスベリは「高木」に分類され、市内に植えられた「歩道の高木」としては、ソメイヨシノに次いで5番目に本数の多い樹種で、市内各所で見かけることが多いです。
漢字で「百日紅」と書くように、一般に赤い花の木が多いように感じますが、この並木には白い花の木の割合が多く、そのせいか、全体的に穏やかなさわやかさを感じさせる道となっています。

さらに西方面へ進んだところに咲いていたサルスベリ

坂の中腹辺りから、ピンク色の花の木が増えて来ました。

坂の頂点辺りから東方面を振り返ったところ

「一ツ山住宅口」交差点から西方面に上る坂道の頂点辺りは、濃淡の紅色系の花の木が多い印象です。

坂の頂点辺りから北西方面を見渡したところ

地図アプリで調べると標高44メートルほどあり、遠くに立ち並ぶ高層ビルまで見渡せる、見晴らしのいい場所です。
ここから、サルスベリ並木の北西端の「下林」交差点までは、緩やかに蛇行した下り坂になっています。
白いサルスベリの花が、夏空に映えてさわやかですね。

さらに北西方面へ進んだところに咲いていたサルスベリ

この辺りは、ピンク系の花が多いです。

さらに北西方面へ進んだところで南東方面を振り返ったところ

坂を下って来たことを実感する風景です。
両側のサルスベリは、白系とピンク系の木が入り混じっていますが、少し白色の木が多い気がします。
たまに風が吹くと、白やピンクの花びらがはらはらと散って、とても美しかったです。

サルスベリ並木の北西端の「下林」交差点から南東方面を振り返ったところ

道が少し蛇行していて見通しはあまり良くありませんが、ピンクと白のサルスベリの花が街路灯のように、安心感を与えてくれている気がします。

多様なサルスベリの花姿をクローズアップ

色とりどりのサルスベリの花たち

赤色、ピンク色、白色の花を付けたサルスベリの木たち。
このように違う色の木がずらりと並んでいるのを見ると、華やかな雰囲気に心が明るくなります。
サルスベリの原種の花の色は赤で、近縁種(白色)などとの掛け合わせにより、園芸品種として、紫色や鮮やかな赤紫色、ピンク色、白色といった花色が広まっているのだそうです。

白い花を下から見上げたところ

緑、白、青と、さわやかな色彩に、元気をもらえます。
花の白色と雲の白色が溶け合って見えて、空を近く感じました。

ピンク色の花を下から見上げたところ

重なりあった葉の陰影、幹の滑らかで重厚な茶色、輝くようなピンク色の花、どれもが美しくて、名匠の手による絵画のようです。
思わず見とれてしまいました。

色々なサルスベリの花たち

サルスベリの花は、その年に伸びた枝の先に、小さな花の一つひとつがピラミッドのような形に集まって咲く「円錐花序(えんすいかじょ)」。
江戸時代の歌人・加賀千代女が「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」と詠んだように、一つひとつの花は「一日花」で、たくさんのつぼみが次から次へと咲いていきます。
花の付き方や花序の大きさは様々で、きれいなピラミッドが形成されているものもあれば、面白い形に広がっているものもあります。

大人の女性のこぶしとサルスベリの花序

ちょっと大きめの花序があったので、大人の女性のこぶしを横に並べて大きさ比べをしてみました。
こぶしの大きさが縦、横ともに10センチぐらいなので、花序の大きさは30センチぐらい(縦、横ともに)ありそうです。
咲いている花の影にはたくさんのつぼみが隠れていたので、今咲いている花が散っても、この花序はまだまだずっと咲き続けていくんだろうなと想像できました。

サルスベリ、一つひとつの花をズームアップ

先がフリルのように広がった花びらが6枚、真ん中付近にメシベが1本と、先端が黄色いオシベが多数集まり、その周りから細長くて先端が紫色のオシベが6本伸びています。
中央に集まった多数のオシベは虫をおびき寄せるための「見せかけのオシベ」で、実際に生殖能力を持つのは、外側に伸びる先が紫色の6本のオシベなのだそうです。
これは、虫じゃなくてもだまされちゃいますね〜。

サルスベリの花のつぼみ

コロンコロンとまん丸で可愛らしいつぼみたち(左の写真)。
神社などで巫女さんが持っているイメージのある「神楽鈴」のようにも見えます。
右の写真では、少しずつ花が咲いていく様子がよくわかります。

サルスベリの足元に咲いていた草花たち

左から、マツバボタン、ペンタス、ムラサキゴテン(いずれも推定)。
よく茂ったサルスベリの根本に植わっていて、日陰になる時間帯だったため、ほっと一息ついているようでした。
サルスベリと同様に、夏の酷暑にも負けない、生命力の強さ、優美な花姿に、元気をもらえました。

今回ご紹介したサルスベリ並木は、起伏のある1キロ弱の道。
暑い日中に歩いたため少し大変でしたが、色とりどりのサルスベリを楽しめるだけでなく、閑静な住宅街でありながら、遠くの街並みまで見渡せるスポットやコンビニ、カフェもあって、充実した散策ができました。
サルスベリの開花時期は9月末ごろまで続くので、今シーズン中にまた訪れてみたいと思っています。

※掲載情報は公開日時点のものとなります

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この記事を書いた人

名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。

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