岐阜県美濃市は、1300年前から伝わる美濃和紙の製造技術が今に残されているほか、その和紙問屋によって築かれた古い町並み「うだつの上がる町並み」も、その姿を残している。
毎年開催される美濃和紙あかりアート展を訪れた。

”うだつ”とは、家の屋根に作られた防火壁のことを言い、当時の豪商たちがその富を競い合うように立派なうだつを設置したことから、富を成す者の証として、”うだつがあがる”と言われるようになったことからこの町並みの名称となった。


メインストリートの景観に目が行きがちであるが、町並みの横筋の路地の風景も趣き深い。銀行など町に並ぶ店舗が町並みの景観を損ねないように色彩を合わせ、統一感を生み出している。


町の中心部には、元庄屋兼和紙問屋だった旧今井家住宅。江戸から明治にかけての往時の町家の姿が残されている。町家のなかから格子越しに通りを眺める。おそらくこの風景も昔のままだろう。
うだつの上がる町は、こうした古い家も残されているが、古いままではなく、外の姿は変わらぬままに、中身は飲食店や宿泊施設などに様変わりしているところもある。そうしていかなければ町は生き残っていけないのだろう。




町から少し離れた長良川沿いには、川の交通を守る灯台・上有知湊(こうずちみなと)がある。夕暮れになり、ぼちぼち灯台の役割の出番の時間だ。


再び、うだつの上がる町並みに戻ると、空は茜色に変わり町並みを染めていた。そして、美濃和紙あかりアート展の作品たちが灯り始めていた。
この町並みでは、美濃和紙を素材にしたあかりアート展が毎年10月に開催され、町並みにあかりのアート作品が並び、美しい町並みを形成する。




町のやさしさと、作品のやさしさが折り合い、夕暮れのいい”時間と空間”を創り出す。


町並みに展示されるあかりアートは、秋のイベントであるが、通年、あかりアートを鑑賞できる「美濃和紙あかりアート館」もある。ここでは、過去のグランプリ作品などが展示されている。美濃へ行ったらこのミュージアムも必見だろう。


