かつて、市街地の急速な発展によって「白い街」とも呼ばれた名古屋ですが、道路整備に合わせて街路樹の植栽に注力し、今では、市域における街路樹密度が全国の大都市でトップクラスにまでなりました。
2021年からは、街路樹の大木化や老朽化といった課題を解決し整備を進める「街路樹再生なごやプラン」も始まり、道路空間と調和した街路樹づくりが進められています。
「名古屋の街路樹」では、名古屋市内の、街路樹と街並みが調和した特徴的な風景を取り上げ、その魅力をご紹介していきます。

名古屋臨海鉄道(貨物鉄道)の駅と
工業地帯を結ぶ東西の道
冬は葉を落とす街路樹が多い中、鮮やかな色彩を楽しめる街路樹はないかと探していたところ「クロガネモチ」の文字が目に入りました。
今なら葉の緑色と実の赤色のコントラストを楽しめるのではと、クロガネモチ並木のある内港地区の工業地帯を訪れてみました。
※本記事中の写真は全て2026年2月21日に撮影したものです。

昭和ふ頭の東側を走る東西の道は、市道・大江線支線第1号と第7号で、思ったよりも多くのクロガネモチの木が立ち並んでいました。
この写真を撮った地点のすぐ後ろ側には名古屋臨海鉄道東築線が通っているのですが、昼間はほとんど列車が通ることがないようで、遮断機もありません。
「平成九年度緑化推進事業」と記された杭が立っていますので、このクロガネモチ並木は、約30年前の平成9年(1997年)に植栽されたものなのでしょう。
結構歴史のある街路樹のようですが、どの木も適度に樹形が整っているので、整然とした雰囲気が漂っています。

少し近づいて見上げてみると、結構たくさん実が付いているのがわかります。
クロガネモチは雌雄異株なので、雌株には実が付きますが、雄株には実が付きません。
ざっと見たところ、この道のクロガネモチは約7割が雌株で、雄株は3割ぐらいのようです。

雌株でも実の付き方はさまざまで、パッと見他だけでは実が目立たない木もあります。

クロガネモチは大体5メートルほどの間隔で立ち並んでいます。
南側の歩道から見たところなので、右手に見えるのは変電所、左手は工場、正面には名古屋高速道路と、工業地帯であることを実感する風景です。

街なかでは見かけない組み合わせなので、思わずパチリ。
クロガネモチの葉の緑色と実の赤色、鉄塔の白さが眩しく、2月っぽくない色合いの写真になりました。

クロガネモチは常緑樹ですが、寒さと乾燥のため、冬に葉が落ちることもあるということです。
暖かくなると葉は復活するようなので、心配することはないようです。

北側の歩道から見ているので、先ほどの風景(1)とはまた違って見えます。

左側に見える変電所の存在感が大きく感じますね。
ここからの風景では、赤い実が目立たない木が多いので、街路樹がクロガネモチであることはわかりにくいかもしれません。
さまざまな角度から
クロガネモチの道をクローズアップ

数が少ない雄株を下から見上げたら、枝の付き方が面白くて、思わずパチリ。
放射状に伸びた枝は色が明るいので、新しい枝なのでしょう。

雌株でも、放射状に伸びた枝を見つけました。
何となくですが、枝が切り取られたり、傷ができた跡から若い枝がたくさん出ているような気がします。

大体、雌株ではこんな実の付き方をしている木が多いです。
たまにムクドリなどが実をついばみに来ていましたが、すぐに飛び去ってしまうので、写真に収めることはできませんでした。

中には、このように固まって実が付いている木も何株か見かけました。
何だか違う種類の植物のようにも見えてしまいますね。

多くの株で、幹に付いた小さなこぶのようなところから葉や実が出ていました。
上の方の枝が出ている部分だけでなく、下の方の幹でも葉や実を観察できて、興味深いです。
クロガネモチの根元には、さまざまな雑草が生えていますが、いくつかの種類で花を咲かせているものがあったので、写真に収めてみました。

推定ですが、左から、ミチタネツケバナ、ネバリノミノツヅリ、ナズナと思われます。
何気なく見過ごしてしまいがちな花たちですが、よく見てみると、とっても可愛らしくて、つい見入ってしまいます。

オオイヌノフグリとは、在来種(史前帰化植物)のイヌノフグリに似ていて、イヌノフグリより花が大きいことから付いた名前だそうです。
大正時代初期に全国に広まっていたことが確認されている外来種ですが、繁殖力が強く、在来のイヌノフグリを凌駕してしまっているようです。
オオバコ科の越年草で、日の当たっている間だけ咲く一日花でもあります。
春の訪れを知らせる花の一つでもあるオオイヌノフグリは、別名「星の瞳」。
青から白のグラデーションで染め上げられた花びらが、夜空の美しい星にたとえられての呼称のようですが、こちらの方が花姿に合っている気がするし、人前でも呼びやすいと思います。
ノボロギクは、キク科の一年草または越年草で、昔は薬用にされることもあったようですが、今は有毒とされていて、注意換気している自治体もあります。
今回ご紹介した東西の「市道・大江線支線第1号と第7号」のクロガネモチ並木は、約440メートル。
車道はトラックなどの車が結構通りますが、歩道はほとんど人通りがありませんので、ゆっくりと街路樹観察できます。
クロガネモチの開花期は5月から6月で、雌花は可愛らしい薄ピンク色、雄花は花びらのない地味な花だそうですので、今度は5月中旬ごろに、また花たちを見に訪れてみたいと思います。
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